サーキットブレーカー(5.13b・柏木)奮闘記by 飯田



 2004年10月24日(日),ついにサーキットブレーカー(5.13b)を手中におさめました。
今年の秋に集中的にトライし,今秋6日目のRPでした。でも,一昨年のシーズンも数回トライを重ねていました。

 RP達成の裏には,僕のよきライバルである京都のK氏の存在を抜きに語ることはできません。
K氏へは心から「ありがとう」の気持ちを伝えたいと思います。

 さて,一昨年からサーキットブレーカーの料理にかかったのですが、僕の手に負えない怪物でした。
5.12クラスは何本もRPしたのですが,5.13にトライするのは初体験でした。
初トライは全くの門前払いでした。ムーブが組み立てられない。トラバースが全くできない。
「こりゃだめだ!」一人でトライしていたこともあり,
「やっぱり,5.13の道は険しい。」と,あきらめ一昨年のシーズンは終了しました。

 ところが,昨年の晩秋にこのルートをトライしていたK氏より,
「トラバースのムーブ分かったで。ムーブつながりそう。」というメールをもらいました。
「どういうこっちゃ。できっこないやろ。」と半信半疑で柏木に向かいました。
K氏も完璧ではなかったのですが,とても軽やかなムーブでした。
「僕にもできるはずや。絶対にできる。RPするまで登に来る。」固い決心をしました。
今年の秋は,妻がメニエル病にかかり鳳来に行けなくなったこともあり、サーキットブレーカー一本に集中しました。
でも,ぼろぼろでした。「K氏とどこが違うのか。何が足りないのか。」一緒にトライしながら悩みました。
やはり自分は自分。自分に合ったムーブを見つけることに全神経を集中させました。そして見つけた自分のムーブ。
しかし,自然の力には勝てませんでした。毎週のようにやってくる台風。トラバース訓練だけの日々もありました。

 ついに,その日はきました。台風23号が近畿地方を直撃した後の週末。条件は決していいとは言えませんでした。
トラバースのガバホールドは濡れていて使えないし,上部は湿っているし。
この日初めてトラバースができたのですが,後にも先にもトラバースに成功したのは2回だけです。
トラバースに成功しても気が許せません。きびしい突き上げが待っています。
レストポイントに達したときは,岩に留まったセミのようにゆっくり休みました。
果てしなくレストしながら,やっと届いた終了点。柏木に大きな雄叫びがこだましました。

 48歳で初めて登った5.13b。感無量です。
おじさんクライマーがんばろう。若者には,まだまだ負けられません。
『登るんだ。』という強い気持ちと地道な努力があれば,自分の限界グレードはあと一歩押し上げられるはずです。

 共にがんばりましょう。

                        京都 メッシー