「物語の基本は学園もの?」  

レヴォリューション No.3 「レヴォリューションbR」(金城一紀)講談社
以前から、気になっていた作品である。
手に取ったとたん、ノンストップ状態!
面白い!
「マリみて」と正反対の内容。
下品で、ゴタゴタしてて、トラブルばかり!
でも、会話も地の文もしゃれてるし。
シリアスだけど、コミカル。
ナンセンスだけど、知的。
大いに推薦する。

PS(1)
前作「GO」は直木賞受賞作。
(これも良かった!)
だから、「レヴォリューション・・・」は受賞後第一作に当たる。


PS(2)
これに似た作品に、「池袋ウエストゲートパーク」(石田衣良)があるが、
「レヴォリューションbR」方が(ずっと)面白い。
(人気は負けてるかも?ただし、「池袋−」のドラマは良くできていた。小説より楽しめた)
「800」(川島誠)も似てるけど、『陸上』と言うテーマにそって展開している。
メインの主人公も2人だし。
「レヴォリューション・・・」は『群像』を描いている感じ。
アルトマン(監督)風?
(「クッキーフォーチュン」良かったねぇ!)





「フラワーオブライフ」(全4巻)よしながふみ(新書館)

よかった!
面白かった!
平凡な学園ライフを描くことほど難しいことはない。
カレーライスやチャーハンでも、『作る人が作るとこうなる』、って見本。
料理(作品)って、素材(キャラ)と味付け(演出/ネーム)なのだ。
クラスメートの1人1人を丁寧に描き分けている。
(どのキャラも濃いし、親しみを感じる)
24年組以外でも読む値打ちのある作家が増えてきた。
佐々木倫子さん
羽海野チカさん
二ノ宮知子さん
そして今回の、よしながふみさんだ。
さっそく読んでみてください。
おもしろさを保証しましょう。

PS1
読む前に注意。
様々な「お約束」の上に物語がある。
知らなくても良いが、知っていた方が楽しめる。
また、よしなが作品はBLが多い。
今回は全面に出てないが、隠れテーマとしてBLを理解しておく必要がある。

PS2
吉田秋生さんの「楽園シリーズ」を思い出した。
レベルとしては同じくらい。
(つまりトップクラス、ってことだ)
「河よりも長くゆるやかに」も思い出した。

PS3
第一巻P124に名作として次の作品を挙げている。
解らない方のために説明しておく。
「カラスのごめん」→「ガラスの仮面」(美内すずえさんの大作。「花とゆめ」創刊号は、これと「アラベスク」第二部)
「イチゴフィッシュ」→「バナナフィッシュ」(吉田秋生さんの長編。アッシュには根強いファンがいる)
「トールの腎臓」→「トーマの心臓」(萩尾望都さんの名作。元祖BL?でも、「グリーン・カーネーション」がある)
「いただけない瞳」→「いたいけな瞳」(吉野朔実さんの作品・・・実は、読んでない)
「六つのエメラルド」→「七つの黄金郷」(これは山本鈴美香さん未完の大作。私もかつてMCで集めていた)

PS4
TV、映画等の映像化は難しいでしょうね。
本来のおもしろさが半減するかも。

PS5
全4巻のうち、最初の2冊はなじみの書店で購入。
後半2冊がなかなか見つからず、梅田まで出向いた。
グランドビル30階コミック専門店。
さすがに、ここにはあった。
よしなが作品のコーナーまであった。
・・・でも、BLコーナーだった!
(個人的には、このコーナーの前に立つことさえ抵抗を感じる)
なんとかならないか。
(ならないでしょうねぇ・・・)

氷室冴子作品はすべておもしろいが、
殊に、「なぎさボーイ」と「多恵子ガール」は、
作品の構成が、実験的ですばらしい。
両作品を読むことによって、
同じ時の流れを
2回楽しめる趣向になっているからである。

男と女のすれ違いをここまで、わかりやすく
たのしい作品にしてくれているのは、
作者のサービス精神か?
作家の本能か?

姉妹編「北里マドンナ」「蕨ヶ丘物語」もある。
同じ学園もので、「クララ白書」パートT、U
「アグネス白書」パートT、Uも、おすすめ。
読むと元気になるよ。
「恋する女たち」もコメディタッチ学園もの佳作。
何回読んでもおもしろい。
最近、新作がでないのが残念。
(結構辛抱強く、新作を待っている人は多いんじゃないか?)
この作品が「ベッドタイムアイズ」や、
「ひざまずいて足をお舐め」と同じ作者?
とても信じららないかも。

『主人公の時田秀美は高校生だが、私は、むしろ、
この本を大人の方に読んでいただきたいと思う』
と、あとがきにあるように、
かつて高校生であった読者たちへの、
『大人になるとは、進歩することよりも、
むしろ進歩させるべきでない領域を知ることだ』
というメッセージであるように思える。

いずれにせよ、理屈抜きに楽しめる1冊である。
これ以外にも、
「蝶々の纏足」
「風葬の教室」
があるが、こちらはシリアス。
幅広い作品が発表されているが、「どの作品も好き」
というファンが多いように思える。
ファンというより贔屓なのかも?
作者は、デビュー当時から
「すごい新人が現れた」と騒がれた人である。

主な作品に、
「カリフォルニア物語」
「吉祥天女」
「BANANA FISH」
「YASHA」
があるが、どれもレベルが高く、傑作である。
今も筆力は衰えるどころか、ますます冴えわたり、
作画の迫力も増している。

どの作品にも共通して言えるのは、
主人公をはじめとする登場人物のキャラクターが
《したたかなようで、繊細》な点である。
これだけの機微を表現できてしまう作者は、
はたして幸福なのか?
不幸なのか?
なんてことを考えてしまう。
(よけいなお世話!)

コメディタッチの作品としては、これ以外にも
「河よりも長くゆるやかに」がある。
こちらも秀逸である。
言葉で表現できないニュアンスを、画と描き文字で表現している。
小説では味わえない、おもしろさである。
荻原規子というと「ファンタジィ作家」という
イメージがある。
「空色勾玉」
「白鳥異伝」
「薄紅天女」
以上勾玉三部作。
「これは王国のかぎ」
「西の善き魔女」シリーズ
いずれもファンタジィ。

ところが、オビに書いてあるように
「都立高校を舞台にしたミステリアスな青春小説」
意外?!
しかし、「西の善き魔女」第二部「秘密の花園」をみよ。
これは女子寄宿舎を舞台にした学園ものではないか?
ただ、現代日本を舞台にした作品をこれまで著していなかったから、
−−−『知る人ぞ知る、荻原作品のおもしろさ』
といったところがあったように思う。
これで新たに荻原ファンが増えたのではないだろうか。
(出版社は荻原作品をもっとアピールしてもよいのでは?)

ところで、この作品は「これは王国のかぎ」と同じ
上田ひろみがヒロイン。
(このとき上田ひろみはまだ中学生)
こういう設定が、ファンにはうれしい。
近衛有理、中村夢乃といった魅力あるキャラも登場し、
会話部分も大変たのしい。
「近衛有理や中村夢乃をヒロインにしても作品ができるんじゃないか」
と思えるくらい。
あとは、大学編、社会人編と続くのを祈るのみである。
著者は大変寡作なので、それだけが残念である。
(その分、新作がでたときの感激はひとしおだけど)
今年(2002年)10月30日に出版された新刊だが、
代表作となるであろう作品の誕生。
おもしろい。
以前発表された短編「黄色い目の魚」の『その後』が描かれている。
かつてのヒロイン村田みのりちゃんは、中学1年から高校2年になった。
一人称で物語が進行するが、木島君という彼もできて、
『みのりちゃんと木島君が交互に語る』連作長編となっている。
以前読んだ時も、このヒロインはけっこう気に入っていたので、
成長した姿で再び帰ってきてくれて、嬉しい。
何年かしてその後の二人の姿を見てみたい。
外伝でもいいから他のエピソードも読んでみたい。
佐藤作品の魅力は、登場人物が不器用だけど誠実で、正直なところ。
駆け引きなしの、真剣勝負。
「サマータイム」
「九月の雨」
「スローモーション」
「しゃべれども しゃべれども」
いずれも、然り。
世の中の男女は『恋愛マニュアル本』を読むヒマがあったら、
佐藤作品を読むべし。
←1993年出版時の装丁
あまりにも有名な作品。
学園もの元祖。
戦後まもない東北地方を舞台にした
青春明朗小説(死語)である。
昭和22年6月から10月まで朝日新聞に連載された。

寺沢新子、六助、島崎先生、沼田医師といった登場人物をはじめ、
脇役も魅力的。六助の親友富永、下級生の和子、芸者の梅太郎。
当時(敗戦後)の風俗、世相の勉強にもなる。

昭和24年今井正監督により映画化。
島崎先生役が原節子さんである。
ちなみに、この年には、下山・三鷹・松川事件がおこっている。
民主主義を謳歌する一方、すでに矛盾が出てきているわけだ。
(私って社会派じゃん!)

関係ないけれど、映画を観ていると、
原節子さんがノーブラのように感じられるのは、
目の錯覚だろうか?
願望だろうか?
(ただのスケベじゃん!)

この作品をおもしろく感じた方は、
「山のかなたに」「暁の合掌」、
それと、学園ものじゃないけど、
「陽のあたる坂道」をオススメします。