【石井光太さんのページ】

【参考】
石井光太公式サイト【コウタイズム】
2009年9月21日

「絶対貧困」石井光太(光文社)
内容 石井光太さんの貧困学講座
一般的面白さ ★★★★★
個人的趣味 ★★★★★
情報・知識 ★★★★★
インパクト ★★★★★
点数 91点
気分 貧困の実態・・・実例多数でリアリズム&ユーモア
オススメ ★★★★★
ネット上の紹介
[要旨]
スラム、物乞い、ストリートチルドレン、売春婦の生と性…
1日1ドル以下で暮らす人々と寝起きを共にした気鋭のノンフィクション作家が語る。
泣けて、笑えて、学べる、ビジュアル十四講。
[目次]
第1部 スラム編(スラムの成り立ち;人々の暮らしと性;表の職業・闇の職業 ほか);
第2部 路上生活編(路上生活者とは;恋愛から婚姻;出産から葬儀 ほか);
第3部 売春編(売春形態と地域;売春婦の実態;性の国際化)

よくぞここまで取材した。
感心した。
「物乞う仏陀」「神の棄てた裸体」では具体的なデータより、「情念」を感じさせる内容だった。
今回は、「講義」という型式をとって、「貧困とは何か」、ってのを表現している。
具体的な資料満載で、理解しやすい。
石井光太さんの作品はどれも、説得力があり考えさせられる。
興味深い話をひとつ。
(以下、転載)
ドイツのワールドカップの時は、海外からやってきた売春婦の数は四万人にも達したそうです。
(中略)

次は2010年の南アフリカ大会ですが、ここでも膨大な性産業の特需が見込まれています。
しかし、南アフリカは世界最大級のエイズ大国で、十五歳から四十九歳の人口の五人に一人が
HIV感染し、売春婦の感染率はそれをはるかに上回ると言われています。
もし、ワールドカップで集まってくる外国人がそこで買春をしたらどうなるでしょう・・・。

(以上、転載終了)
・・・恐ろしいことだ。
2010年を境に、HIV感染が世界を汚染するかも。
(これは笑い話ではないぞ)
サッカーファン要注意。
2009年9月14日

「物乞う仏陀」石井光太(文春文庫)
内容 石井光太アジアの旅
一般的面白さ ★★★★★
個人的趣味 ★★★★★
情報・知識 ★★★★★
インパクト ★★★★★
点数 93点
気分 おもいっきり濃い
オススメ ★★★★★
ネット上の紹介
[要旨]
アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい―。
そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。
カンボジアの地雷障害者やタイの盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、
インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。
アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。
[目次]
第1章 カンボジア―生き方〜買春と殺人;
第2章 ラオス―村〜不発弾と少数民族;
第3章 タイ―都会〜自立と束縛;
第4章 ベトナム―見守る人々〜産婆と家族;
第5章 ミャンマー―隔離〜ハンセン病と信者;
第6章 スリランカ―仏陀〜業と悪霊;
第7章 ネパール―ヒマラヤ〜麻薬と呪術師;
第8章 インド―犠牲者〜悪の町と城

先週読んだ「神の棄てた裸体」がすばらしかったので、こちらも読んでみた。
やはり、すごい内容だ。
現地の乞食にインタビューを試みる・・・それも毎日、何人も。
非常に生々しいが、ユーモアもある。(そこがすばらしい)
乞食には障害者も多い。
だから、アジアの障害者取材も兼ねている。
著者は障害者のひとりの女性が好きになり食事に誘う。
すると、家に来てくれ、と言われる。
そこから××な展開に・・・まぁ、とりあえず読んでみて。
著者の行動力に脱帽。
2009年9月7日

「神の棄てた裸体」石井光太(新潮社)
内容 ノンフィクション・イスラム夜の世界。
一般的面白さ ★★★★★
個人的趣味 ★★★★★
情報・知識 ★★★★★
インパクト ★★★★★
点数 96点
気分 この濃度、このエピソード、打ちのめされ呆然とする。
オススメ ★★★★★
ネット上の紹介 第1章 街娼たちの渇愛―インドネシア/パキスタン(夜会;婆;兄弟の秘め事;禁じられた舞踊);
第2章 異境を流れる者―ヨルダン/レバノン/マレーシア(月の谷の女;死海の占い師;堕天使);
第3章 家族の揺らぎ―バングラデシュ/イラン/ミャンマー(人さらい;砂漠の花嫁;問わず語り);
第4章 掟と死―パキスタン/アフガニスタン/インド(銃声の子;花の都の裏切り者;切除;水の祈り);
第5章 路上の絆―バングラデシュ(浮浪児の渇き;幼い乳)

かつて藤原新也『印度放浪』、沢木耕太郎『深夜特急』に熱中して、旅に出たアナタが次に読むべきは石井光太です。
歯のない娼婦の婆さん、体を売る少年少女、日本兵にレイプされ村を追われた女性…
全てのエピソードがイスラムの濃密な空気と混じりあい、胸に迫ります。
単なる「旅・青春モノ」に終らない深さがこの本にはあるのです。
何度も読み返したくなるこんな本を僕らは待っていた。平成版『深夜特急』ここに誕生!

この濃さはなんなんだ、すごすぎる!
旅の主題が異なるから並列できないけど、それでも比べてしまう。
・・・「深夜特急」が薄味に感じられる、と。
著者が対象にのめり込み、感情移入しすぎるけど、このスタンスもいい。
世界で様々な紛争・戦争が起こっているが、そこに生活している方はどうなっているのか?
例えば、『婆』のエピソード。
東ティモールの紛争がもとになっている。
ヌール婆さんは、歯がなくて、風貌は老婆。
でも実は45歳らしい。
なぜなのか?
理由が語られたとき、このエピソードに呆然とする。

また、最終エピソードでジャラカが、他人の赤ん坊を育てようと決意するシーン・・・。
ジャラカは家族のいない路上生活者。
ぼろぼろのサリーをまくって赤ん坊に乳を飲ませようとする。
(・・・もう涙腺ゆるみっぱなし)
PS1
しかし、レジミーはどこへ行ったんだ?
(著者のレジミーへの介入は中途半端すぎる・・・怒)
PS2
この作品、何の賞も取っていないようだけど、なぜ?
こんな凄い作品なのに。
もっと評価されるべき、と感じる。
ぜひ、読んでみて。
【参考】
石井光太公式サイト【コウタイズム】