【寄稿文栗原さんの「南仏/カランク・レポート」】
(2009年2月1日開設)

  ★ ★ ★

栗原さんより「カランク・レポート」をいただいた。

栗原氏、6つめの寄稿文。
今までいただいたのは・・・
@ロデジャ・クライミング報告2005
Aプラナンレポート2005-2006
Bプラナンレポート2006-2007
C中国レポート2007−2008
D米・ライフル・レポート2008
そして今回のレポート。
今回も、味があり、おもしろい。
感謝!

byたきやん

 ★ ★ ★

南仏・カランクへ行ってきました  by栗原

輝く太陽、紺碧の地中海、ワインとフランス料理そしてクライミング・・・

 学生の頃、弟が撮った写真がいまでも忘れられない。
青い空と海、白い砂浜が素晴らしいコントラストの美しい写真。
それはニースの海岸。それ以来、いつかは南仏とあこがれていた。
20数年たってやっと念願がかなった。

12/23

 関空より出発。
夜、マルセイユ着。
レンタカーを借りる。いきなり最大の核心。
空港からホテルまでナビなしで行かなければならない。
しかも夜。なんとか高速道路
A7にのり、A55へ。マルセイユの夜景を右手に見る。
町中に入っていくはずなのになかなか入らない。
やがて通り過ぎてしまい山の中へ。
おかしい。さらにマルセイユを目指して走り続けると今度は、マルセイユの夜景が左手に見えてきた。
現在地はさっぱり不明。深夜に開いているガススタで、給油に来た怪しげな男に道を聞きなんとか町中へ。
ところが、町中でもすっかり迷子。
道は狭いし、看板は小さく夜でわかりにくい。
地図は字が小さすぎておまけに暗くて読めない。
町中をぐるぐる走る。
やけくそでクリスマスライトアップを楽しみながら、隣町ツーロン行きの看板をたどることにした。
車一台しか通れないような道をたどりなんとか
A50へ。
ほっとする。

No4
の出口へ。事前に調べた地図で行くが、なぜかスーパーの入口へ。
またぐるぐる走って疲れ果てたときにホテルの看板らしき物を発見。
それに従ってやっとホテル前へ。午前2時30分。
普通なら1時間でたどりつくところを3時間30分かかった。
チェックインもできずに、ホテル前で車中泊。
機内食のワイン
(オランダ航空はワインを小ボトルでくれる)を飲んで寝る。

 

12/24 曇り パルデトワ

 現地日本人の友人と待ち合わせのためルミニー大学へ向かう。
これも地図を頼りに行くが、また迷子。
やがて路面電車と遭遇。
駅名から現在地を確認。
初めて地図上で現在地を確認できた。
うれしかった。
路面電車について走るが、やがてわかれて町中にはいる。
迷子。
昼間は交通量も多く、交差点は信号でなく恐ろしいロータリーが次々と襲いかかる。
緊張の中目指す校外の町名の看板に従って走る。
途中、おばちゃんに道を尋ねる。
当然フランス語なので地図を見ながらのゼスチャーゲーム。
すると通りがかりのおっちゃんも
「なにしてんねん
?」って感じで入ってきて、みんながそれぞれまくし立てる。
なんとかメインの通りにたどりつき無事ルミニー大学へ。
大学は広い。広すぎる。

友人の案内で岩場へ。
アプローチは広い車道。
パトロール車以外は進入禁止。
犬の散歩やジョギングなど市民の憩いのコースとなっている。
30分ほど歩いてパルデトワ到着。
メインの岩場である。
みんながアップに使うという6
B[ULTIMA THULE]にトライ。
中間部が悪い。
U田さんも息子も悪いカチでクリアしている。
しかしこれは悪すぎ。
よくみると縦カチを発見。
それでクリア。
長いルートで登りごたえ十分。
60
Mロープでは足りなかった。
教えてもらったスーパーで夕食の買い出し。
ゆでた伊勢エビが一匹
23ユーロであったが、タイムサービスで11ユーロに。
さっそく買っていろんなフランス料理のお総菜といっしょにホテルで乾杯。
フランス風春巻きも絶品。
サラダもうまい。
チーズの生ハム巻きはチーズが山羊チーズなので少し獣臭かった。
夜は疲れ果てていたので泥のように眠った。

ULTIMA THULE 6B】★ 父:F  息子:F

12/25 曇り パルデトワ

 昨日の道は意味不明のため高速道A50を通ってルミニー大学へ。
今日はクリスマスのため、道はガラガラ。
高速を降りて走ると昨日道を尋ねた場所に出た。
よし!ここからなら大丈夫。
このような偶然で通勤路ができあがった。

 パルデトワ。
昨日トライした6
Bの隣の6B[TRANCHE-MONYAGNE]にトライ。
快適ガバが続くが、細かくなりしかもランナウト。
目の前にピンがあるがヌンチャクがかけられない。
なんとかあまいアンダーで体勢を整えクリップ。
手がかじかんでテンション。
怖かった。
その後も細かいホールドが2手続きクラックからガバへ。
6C[DESTINATION DANGER]にトライ。
1ピン目過ぎてハング突入直前でスリップフォール。
ホールドが潮で湿気っている。
パワフルなハング越えの出だし、そしてガバガバの快適なハング越え。
ヒールフックも楽しい。
途中、巨大クラックの超ランナウト5
Mでテラスへ。
そこから高度感抜群風ビュービュー
のジェードルをステミングで。
スリル満点。
ジェードルの抜けから露出感満点のトラバースへ。
ピンが遠い!ヌンチャクを掛けるが、ロープが重くクリップできない。
ひょえ〜!なんとかクリップするが、ここでヌンチャク不足が発覚。
15本持ってきたのに。
あえなく敗退。
U田さんが残りの1ピンを掛けて再トライ。
順調に最終ピンまで行くが、なんとその後に核心が。
オンサイト状態だったので苦手の縦ホールドの餌食になりフォール。
くやしかった!
このルートはもともと6
Bのルートを2本をつなげたもの。
30
Mあり登り応え十分。

 夜はクリスマスのためスーパーも閉店。
しかたなく
KFCを買ってホテルへ。
フライドチキンを食べたのは何年ぶりか?
スパイシーのものを食べ汗だくになる。

12/26 雨風強し

 レスト。
夕方
T さんが空港に着くので、のんびり過ごす。
しかし、現在の3人一部屋から2人2部屋へ移動しなければならない。
チェックアウトは午前11時、チェックインは午後5時。
その間宿無し状態は困るのでホテルに交渉。
しかしフランス語しか通じない。
紙に図を書いてなんとか意思疎通を図る。
ところが異動先の部屋をあけるとおっちゃんが寝てる・・・・。
「33号室でおっちゃんが寝ている。」をフランス語で伝えなければならない。
「シャンブレ、トロワトロワ、ムッシュ
,レステ」おお!通じた!

 空港へ行く。
また車の運転という恐怖体験が待っている。
憂鬱だ。
事前に調べた道を行くつもりであったが、空港への看板があったので急遽その道を通る。
途中有料になってる高速道路であるがトンネル内も道が狭く、
空港までも分岐がやたら多く冷や汗を3リットルぐらいかいて空港へ。
しかし1時間で到着。
夜は空港で買った、巨大フランスパンサンドイッチ。
やはりパンはおいしい。
ホテルの朝食も簡素であるがパンはうまい。

部屋にもどると部屋の鍵が開いていた。
締め忘れかと思ったのだが・・・。

 

12/27 晴れ  ヴィラージュ・ガウチェ

 T下さんが太陽を運んでくれた。
彼女はクライミングだけでなく何かと頼りになる人なので、心にも明るい日差しが差し込んできた。
正直、車の運転やホテルとの交渉、慣れないフランス語生活に疲れ
クライミングに集中できる環境にはなかったので、彼女の登場はうれしい。
よし!と思った朝、出発しようとドアを閉めるが閉まらない。
何度もバンバンやってると隣のへやのおっちゃんが出てきて文句を言ってきた。
しかたなくフロントへ。
今度は難しい。
「ドアの鍵が壊れている。」をフランス語で。
しかたないので
「バーン!(ドアを閉めるジェスチャー)、ホワ〜ン・・(ドアが開くジェスチャー)」を3回繰り返す。
おお!通じた!まるで底抜け脱線ゲーム(若い人は知らない)だ。

 ヴィラージュ・ガウチェへ。
5C+[MALIN L'ENCHANTEUR]でアップ。
快適だが、ランナウトがちょっと怖い。
A[O.C.B]にトライ。
快適な好ルート。
6c
[M.C.H]にオンサイトトライ。
しかし悪い下部をクリア核心へ。
こまかい縦ホールドを使ってダイアゴナルでカチへと手を伸ばすがフォール。
どうもこのムーヴは厳しすぎる。
U田さんは結局このムーヴであったが、私には無理。
で、手順を変え最初のカチを右手でもちエッジのようなスタンスに右足、左足をつっばるようにスタンスへ。
すると左手はスタティックにカチへと導かれた。
よし!ムーヴ解決。
で2撃。
核心のあとのフェースも得意の大股開きステミングで解決。
途中のトラバースも足のクロスやトウフックがあり楽しい。
夕食はスーパーで購入したステーキが最高であった。
エビのすり身や揚げ物も美味である。

MALIN L'ENCHANTEUR 5c+】★父:M/OS  息子:F

OCBA】★★父:M/S  息子:F

MCHC】★★父・息子:2撃

 

12/28 快晴 パルデトワ

 パルデトワ[FILS DES AGES FAROUCHES 6C]にトライ。
どうもカランクの6cは辛いのでとりあえずヌンチャク掛け。
最初のハングはガバホールドとヒールフックで快適。
楽しい。
二つめのハングは抜けたあとがどうもあまそう。
やはり・・・。でフォール。
しかしよく見ると左にハンドルバーのガバが・・。
あ〜よく見ればよかった。は後の祭り。
その後はあまいガバの快適ルート。2撃するが、気合いをいれれば
OSができたかも。
どんな時でも
OSを狙う気合いが大切。
息子は会心のフラッシュ。
このルートが一番やさしい6cではなかったか。
ハングとガバで三つ星ルート。
そして、因縁の
6C[DESTINATION DANGER]をサクッとRPし回収。
しかし、ことあとロープの結び目をほどかずロープを引いてしまい
回収のためもう一度マスターで登るはめに。反省。
いずれにしても忘れられないルートとなった。
夕食はレストラン。
クレープ料理の店。いろんな具材をクレープに巻いて食べる。
クレープはお菓子だとおもっていたので意外。
もちろん美味。
地ビール「モナコ」を飲む。
なんと赤いビール。味は甘かった。

FILS DES AGES FAROUCHES C】★★★ 父:2撃 息子:F 

DESTINATION DANGERC】★★★ 父:3撃

12/29 晴れ レスト

 あこがれのニースへ。
SNCF(フランス国鉄)の駅で切符を買おうと列に並んでいたが、ニース行きのTGVがもうすぐ出発する。
で、なんか偉いさんのような駅員さんにお願いして、タッチパネルの自動券売機で切符を購入。
走って飛び乗る。
あわてていたので自動改札機で切符の刻印を忘れる。
地下鉄でもそうだが、フランスの改札は無人だ。
その気になればキセルはやり放題。
でもみんなきちんと良心をもっているのか。
車窓からの眺めを楽しみながら1時間ほどすると地中海の絶景が見えてきた。
地中海を眺めながら
TGVで朝ビール。
なんという贅沢!しかし、これは日本なら日本海をみながら
JRでワンカップを飲むオヤジか?!
ニース着。
トラムとバス(1時間以内なら1ユーロで乗り放題)で観光地エズ村へ。
海抜420
Mにある鷲の巣村。
海から切り立った崖の上からみる地中海は格別だ。
村の中の小道や家も中世の趣そのまま。
土産物屋で香辛料とバラの入った塩を購入。
また、日本に戻ったらインチキ・プロバンス料理を楽しもう。
ニースの町中を散策し、老舗でオリーブオイルを購入。
夕日を楽しみ屋台でソッカ(ひよこ豆の粉をクレープのように焼いた物)食べる。不思議な味。

12/30 曇り 風強し パルデトワ

 パルデトワ。
そろそろ7台をと思い、
[LA FILLE AUX CHEVEUX DE LIN 7A]にトライ。
出だしから脆いので落石に注意するようビレイヤーの息子に伝える。
とその直後スタンスの石が崩れる!
「落!!」と叫ぶが息子は顔をしかめてうずくまった。
「当たった・・。」と言っている。
なんとかロワーダウンした。
幸い1ピン目直後だったので落石距離も短く当たった場所も太ももであっため大事には至らなかった。
大きさは人の頭より大。
息子には申し訳ないことをした。
それでもロープを放さなかった息子に感謝。
もし顔面直撃であったらとおもうとぞっとする。
パルデトワは岩が脆く、先日も息子のスタンスが欠けた。
そのときはビレイヤーの
U田さんはきちんとクライマーの動きをみており、立ち位置も安全であった。
クライマーの真下でビレイしない、クライマーから目を離さない。
基本中の基本であるが、やはり基本の大切さを思い知らされた。
気を取り直して
[POSEIDON 6C]にトライ。
下部でやや潮のぬめりがあったが、上部ではヌメヌメ。
ガバも持てない。
安全第一敗退。
[LES FINANCILLES DU REGRET 6C]にトライしようとするが1ピン目が遠い。
なんとかやってみようとするが今日は悪い予感がする。
もし岩が欠けたら・・・。
やめ。
[SOLEIL NOIR 6B+]ちょっとツルツルしたガバをつないで。
核心へ。
回り込むトラバースで急に細かくなりテンション。
よく見ると大きなスタンスが回り込んだ所に。
しかし、テンションをかけなければ見えない場所にあり、一度少しクライムダウンする。
トリッキーな核心であった。今日はシケた一日であった。
パルデトワは風の強い日は潮のためかなりヌメる。

 

12/31 曇り風最強 ビラージュ・ドロワテ

 ビラージュ・ドロワテ。 5C+[LES REGRETS]快適だが、一カ所浮き石があった。
思わずつかみそうになり足ものせそうな石なので、チョークでマーキング。
A+[POUR AGNES]にトライ。
下から見るとドスラブに見えるので心してかかる。
快適なガバとクラックからフェイスへ。
適度なスタンスやホールドもあるがルートファインディングが必要。
右へ左へトラバースをして終了点へ。
変化のある好ルート。
6CNANOU]にトライ。
下部はガバのクラックで快適。
しかし、核心は悪すぎる。
左周りはガバまでが遠く必死でガバを取りに行ってもそのあともまた遠い。
ボルトは遙か足下。恐怖のフォール。
右回りはガバであるがかなり右に行くので落ちるのが怖い。
行ってみたが、どうにもならず恐怖のフォール。
結局
T下回収隊に回収を依頼。
これはほんとうに6
Cか?昨日よりはずれルートを引き続ける。
気を取り直し
6C[TOT OT TARD S'EN ALLER]にトライ。
先に息子がトライしたので大体のムーヴは確認。
いざトライ。しかし、息子のライン取りとどうもちがう。
凹角から左に出るがそのあとがどうも・・。
息子は楽そうに行っていたが。
バランスの悪いカチで耐えてガバへ。そ
のあともバランスの悪い箇所があるが息子のナビもありめでたくフラッシュ。
やっと成果らしいものが出た。ヌンチャクを掛けてくれた
U田さんに感謝。
息子は2撃。

LES REGRETS 5C+】★ 父:M/OS 息子:F

POUR AGNES 6A+】★★★ 父:M/OS 息子:F

TOT OT TARD S'EN ALLER 6C】★ 父:F 息子:2撃

 

 この夜は友人のアパートで年越しパーティ。
地下鉄のり最寄りの駅で下車。
若い女の子が切符も買わず慣れた様子で改札口を飛び越えていった。
地下鉄の全ての改札口は無人。
アパートは1940年代に建てられたもので床は石。
重厚な雰囲気。
友人の同居人のフランス人とその友人3人。
そして我々4人の合計9人。
日本からのおみやげで金粉入りの日本酒を持って行った。
日本酒大好きの彼らだが、
「金を食べても大丈夫なのか?」とおっかなビックリである。
自家製パテをパンに塗ったり、フランス風ラザーニャ、もちろんワインで大いに盛り上がった。
意外にも彼らのうち二人はチーズが嫌いらしい。
納豆嫌いな日本人みたいなものか。
高校の教員をしてる男性は英語が堪能で、よく話した。
フランスでは教員は6ヶ月働いたら2ヶ月休みがあるらしい。
その彼女は4つ星ホテルの受付嬢。
「私は休みがないので羨ましい。」としきりに言っていた。
同居人アレックスの友人セバスチャンは英語はいまいちだが日本語の発音が上手。
お互い会話ガイド本片手に彼は日本語、私はフランス語で会話を楽しんだ。
唄の話題になり「
My Way」はもともとフランスの歌手の唄で歌詞もフランクシナトラとは大違いとのこと。
日本ではオヤジのカラオケ定番だと言うと、マルセイユにもカラオケ屋があるらしい。
私の知ってるフランスの唄ということで、
ミッシェルポルナレフの「シェリーに口づけ」の最初の部分を唄ったらその意味を教えてくれた。
なるほど・・。
あとヤケクソで「アビニョンの橋の上で」をフランス語で歌ったら大受けだった。
大学時代第二外国語でフランス語を選択しすっかり全て忘れていたが、この唄だけは何故か覚えていた。

 

/ 曇りのち晴れ レスト・マルセイユ観光

9時まで爆睡。電気をつけたまま寝ていた。
10時にバス停へ。
待てども暮らせどもバスは来ない。
すると通りかかりのおじさんが車に乗ったまま何やら叫んでいる。
「バスは来ないのか?」とフランス語で聞くと、どうもそうらしい。
車から降りてきて何やらフランス語でまくし立てている。
?であったがさすがT下さん。
おじさんの意図することが理解できた。
「国鉄で行け。駅はあっちだ。」と判明。
30分ほど歩いて駅へ。
切符を買ってベンチに座っているとTGVが何度も通過する。
ここはひなびた駅なので各駅しか止まらない。
時刻表をみると1時間ほど待たねばならない。
しかし、その横に張ってある1月1日用の案内掲示によるとマルセイユ行きは16:30。
今は11時30分。
トホホである。駅に来る途中12番のバスは走っていた。
12番はメトロの駅に行く。
メトロは動いているはずだ。
待つことしばし。
12番のバスが来た。
一安心で、マルセイユへ。
メトロの階段を登る。
潮のにおいがする。
地上に出るとそこは町の中心部の旧港であった。
バスでノートルダム寺院へ。
何故か訪問者が多く車も渋滞。
日本の初詣みたいなものか?
遅い昼食?早い夕食で山盛りのシーフードを食べ、
白ワイン
(Casis)を堪能。

 

/2 曇り レ・グードス

 洞窟で有名なレ・グードスへ。
地図と岩と雪の記事を見てオンサイトで到着。
町はずれの
集落からハイキング道へ。
緑のペンキに導かれて尾根をあがると正面に洞窟が見えてくる。
大汗をかいて到着。
眺めは最高だが、天気が曇り。
晴れていれば素晴らしい景色だろう。
[HYPER LEZARDE]6Aにトライ。
下から見るとボルトから茶色い筋が岩肌に走っている。
とりあえずテラスまで上がり1ピン目にヌンチャクを掛けようとするとボルトが錆まくっている。
止めようかと思うがクライムダウンもできずしかたなく登る。
時々ケミカルが打ってあるが基本は錆ボルト。
途中5メートルほどランナウト。
核心は凹角で細かいカチまでが遠い。
お勧めでないので息子には止めるよう伝えて回収。
[FISSURE VICTOR MARTIN]6Bにトライ。
シカで固めたホールドが多く、クリップガバもカタカタ音を立てている。
しかし、人気ルート。ガバで快適なルートであった。
[HELIOS]6Cにオンサイトトライ。
少し悪い出だしからテラスへ。
そこからはガバ縦ホールドで変化のある楽しいムーヴが続く。
第2のテラス手前。柱の角のような縦ホールドが待っていた。
しかし、これは夏のライフルで鍛えた縦ホールド。
体をダイナミックに倒せば効くはずだ。
よし!クリア。
そしていよいよ核心。第2のテラスから核心をにらむ。
右にカチ、真ん中にポケット。
そのうえにガバ。真ん中のポケットを右手でもちそうになるが、よく考えてここは左手と判断。
予想通りそのポケットから右手は苦手のクロスでガバへ。
スタンスがないが、シカで固めた小さな突起を発見。
スタンスにちがいない!そこで耐えて右手はガバに届いた。
さあ、クリップ!
しかしこの体勢でクリップは無理。左手は思わすガバの下のカチへ。
おお、このカチは素晴らしい!でクリップ。
左に横長カチが見える。右手ガストンで頑張って横長カチへ。
届いた!!が、ここからのオブザベが不十分であった。
しかし、左トラバースしか考えられず左手を伸ばす。
下からはガンバコールが。左手で探るがガバはない。
悪いので耐える。体を左に寄せようとするが動かない。
フォール・・・・。
あ〜あ、せっかく核心を越えたのに。
痛恨のフォールであった。
2便目は、出だしでホールドが欠け、途中上部でも探ったホールドが欠けた。
1便目でフォールした所で同じように固まってしまったが、
2回目は落ち着いていて右手を胸の前の悪い縦ホールドに持って行き、体をうまく左へと移せた。
やはり落ち着いていると違うものだ。
オンサイトでは落ち着きが肝心。
あわてると見えるスタンスやホールドも見落としてしまう。
息子も2撃するが、上部と回収時2回落石。不注意な部分もあるのかもしれないが、やはりもろい。
夕食はホテル近くのスーパー(ジェアン)でパエリア、クスクス、ソーセージとサラダ。

HYPER LEZARDE6A】父:MO/

FISSURE VICTOR MARTIN6B】父:F

HELIOS6C】父、息子:2撃

 

/3 晴れ

 朝食後激しい下痢。
T下さんも朝の4時頃から激しい下痢。
どうやら食中毒。
息子も調子悪そう。
U田さんはなぜか寒気がするとのこと。
晴天がうらめしいがレストとする。
一度吐いてすっきりするが、食欲はなし。やたらと喉が渇く。
夜リンゴ一個食べた。
うまかった。原因は不明。多分昨夜の食事か。

 

/4 快晴 グロットドルース

 なんとかベッドから起きあがり、朝食をとる。
ふらつきながら岩場へ。
しかし快晴なので気分はよい。
[CARBONE 14]6A+にヌンチャク掛け。
吐きそうになりながら各駅停車。
しかし、ムーブはおもしろい。
ヨッコイショとテラスへ。
そこからのハングが楽しい。
両手カチから左手をデッドでガバへ。
右足バチバチのヒールフックで体を左に大胆に倒して倒れ込むように右手でガバ。
そのまま左手クロスでクリップ。
こんなムーブ日本ではなかなかお目にかかれない。
しかも6A
+
息子はフラッシュ。
終了点からの地中海の眺めは絶品。
息子は
[FORCEPS]6Cのヌンチャク掛け。
珍しく自分からヌンチャク掛けを申し出る。
カランクには珍しい洞窟登りのルート。
息子のヌンチャクを借りてトライ。
出だしの洞窟登りはタイで鍛えたステミングと体ズリズリ登りでクリア。
得意系である。そこからはチムニー登り。
手への負担はほとんどない。病み上がりにはありがたい。
休みながら登れる。
チムニーを抜ける。
後はガバばかりと下から息子の声が。
しかし、終了点直下行き詰まる。
左上にカチらしきものが見えるので行ってみるが悪い。
またもどり、右を見る。チョークのついたホールドがみえるが△のスローパー。
ここまで来て落ちたくない。
足を滑らせ、あわやとなるが落ち着いて△スローパーをつかむ。
よくない。どうしよう。その時、左手に隠れガバ。
落ち着いて終了点へ。
やった!フラッシュ。非常に嬉しい。
病み上がりなのに快晴にも助けられ登れた。
喜びをかみしめながら地中海を眺める。
なんという幸せ。
ヌンチャクを掛けてくれた息子に感謝。
最終日に最高のクライミングができて満足である。
帰りがけのアプローチ、夕焼けでカランクの白い岩が燃えるように赤い。
その景色が忘れられない。
忘れてはならない。デジカメは電池切れだった。

CARBONE 146A+】父:2撃 息子:F

FORCEPS6c】父:F 息子:2撃

マルセイユはこんなとこ・・・

 たとえて言うなら大阪か。
フランス第2の都市。
人情味がある。
みんなフレンドリー。
フランス人は東洋人を見下しているような所があると聞いたことがあるし、
英語を知っていてもしゃべってくれないということも聞いたことがあるが、
マルセイユはそんなこと全くない。
パン屋さんで道を聞いたら、岩場のことまで話してくれた。
フランス語なのでよくわからないけど。
お礼に千代紙で人形のようにした爪楊枝をあげたら、
喜んでくれてチョコレートをくれた。
TGVで隣のブースにいたおっちゃんは英語で
「日本にトルコのワインを輸出して日本の酒を輸入するプロジェクトを考えてる。
日本の輸出入を扱う銀行はどこか?」とか聞かれた。
なんかホラ話っぽいし、そんなこと聞かれても・・と思っていたが、
南フランスでは、とにかくいろんな人に自分の計画なりを話すらしい。
するとどかからかオファーが来たりするから、

アパート探しとか車を買うとかとにかくいろんな人に言うのが南仏方式とか。

 大阪の人には申し訳ないが、車上ねらいなどの犯罪も多い。
岩場への駐車場ルミニー大学はそのメッカ。
クライミングガイドブック注意事項の一番最初に書いてあることは、
「決して車に荷物を残してはいけない。」である。
ダッシュボードも開けて、何もないことをアピールするのはここでは当たり前。
また、車の運転もみんなスピードが凄い。
高速道路は110キロが上限。
そんなの守ってる人はいない。
町中の道は狭く複雑。大きな車が走っていない理由が分った。
道が狭いから。空港前の駐車場入口ですら激狭であった。

 


岩場情報

 結局6Cまでしかまともにトライしていないので、一般的な事しか言えないが・・。

岩はもろいことが多いので落石には要注意。
また、
1ピン目が遠いことが多く、プリクリ棒があるとよいだろう。
海外ツアーは安全第一。
もし、怪我や事故を起こすと日本の何倍以上も苦労することになる。
ロープは70Mが必要。
私のロープは60M強であったが、降りてきたらちょうどということが何度もあった。
足りずにクライムダウンすることも。
とくにパルデトワでは70Mでないと安心して取り付けない。
気候は、晴れればポカポカ半袖で十分、しかし風が吹くとダウンジャケットが必要。
また、風の強い日は潮でヌメルのでパルデトワは避けたほうがいいだろう。
天気のいい日しか地元のクライマーと出会うことはなかった。全体的にグレードは辛め。


【勝手に5.11代グレード甘い順ランキング】

第1位 アメリカンフォーク(アメリカ)最終日に11a MO/S 11b F  11c RP した。

2位 陽朔(中国)11dを2

3位 プラナン(タイ)7aになるとちょっと手強い

第4位 ロデジャール(スペイン)しかしここには超お買い得7a+が何本かある

5位 ライフル(アメリカ)縦ホールドとツルツルスタンスが強敵

6位 カランク(フランス)長く登り応え十分。ランナウトも刺激的。

車の運転

 レンタカーは日本の旅行会社に依頼して予約。
ヨーロッパは基本的にディーゼル・マニュアル車。
カーナビは一般的ではないが、あるとかなり便利だろう。
マルセイユの町をナビなしで走るのはかなりつらい。
車の運転が得意な人ならましかもしれないが、私は正直苦痛であった。
しかし、ナビをつけるとそれが車上荒らしの的になる。
事前にグーグルマップなどで道を詳細に調べたが、実際現地で走ってみるとさっぱり役にたたなかった。
また、マルセイユ市内は道が狭く朝夕は交通量も多い。
交通事故でも起こせばせっかくのツアーがパーになる。
かなりの緊張を強いられた。
交差点の代わりのロータリーはロータリー内の車が優先で、
進入車線によっては最初の出口ででなければならない。
そうとは気づかす、ロータリーを回ろうとして出口から出ようとした車と衝突しかけたこともあった。
田舎道の運転は快適だが、市内は要注意。


ホテルと飛行機

 ホテルは「地球の歩き方」に載っているマルセイユ観光会議局のHPで日本語で簡単に予約できた。
11部屋40ユーロ(約5000円)で3人まで泊まれるのでかなり経済的であった。
もっと探せば安い自炊可能のアパートもあるようだ。
部屋は冷蔵庫なし、バスタブなし(シャワーのみ)、隣の部屋の声はよく聞こえる。
テレビや暖房は完備。

飛行機もオランダ航空のHPでT下さんに予約してもらった。
これが一番安かった。

費用(おおまかに一人あたり) 1ユーロ=約130

飛行機:20万円

レンタカー:15000+9576(保険フルカバータイプ、税金、運転者追加料など)

ホテル(12泊):31381

食費・おみやげ・観光:53000                合計308957