【今野敏さんのページ】

空手を始めとする武道、格闘技の描写に、圧倒的に優れている。
日本や世界の裏社会や、現代の若者の心理描写も特徴的。
上品でポジティブな作風から、若い女性ファンが多い。
小説のジャンルとしては、SF・バイオレンス・アクション・伝奇・オカルトといった分野のノベルス作品も多いが、
そうしたラベルから想像される以上の、質の高い娯楽小説を送り出している。
警察小説の熱心な書き手としても知られる。

1978年、『怪物が街にやってくる』で第4回問題小説新人賞を受賞。
2006年、『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を受賞。
2008年、『果断 隠蔽捜査2』で第21回山本周五郎賞
第61回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞。

by今野敏 - Wikipedia

今野 敏のホームページ

2009年8月9日

「琉球空手、ばか一代」今野敏(集英社文庫)
内容 今野敏エッセイ風自伝
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★☆
点数 87点
気分 琉球空手について楽しく学べる
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 強くなりたい!ブルース・リーに憧れて空手道を歩みはじめた少年今野。
手作り巻藁を突き、鉄下駄代わりに父親の下駄を履いての跳び蹴り特訓。
気がつけば空手塾を主宰し、指導の合間に本業をいそしむ、立派な“空手ばか”になっておりました。
文壇屈指の格闘家がつづる爆笑自伝エッセイ。五月女ケイ子の豪快なイラストも満載。
今野敏さんの自伝風エッセイ。
けっこう面白い。
途中の編集者のコメントも楽しい。
もし私がクライミングをしていなかったら、この世界に入門したかもね。

さて、興味深いのが黒帯にたいするコメント。
(以下、引用P143〜P144)
流派によって、黒帯審査の厳しさはまちまちだが、本当の伝統を知っている流派は、
それほど高いハードルを設けていないはずだ。
基礎ができて、これから本格的な修行に入れますよ、という指標が初段の黒帯なのだ。
だから、「一段」とはいわず「初段」という。
そういう意味合いがあるので、初段が高嶺の花であっては困るのだ。

(以上、引用終了)
ここからが私見で、この作品から離れる。
ボルダーの初段はやたら難しい。
基礎の出来ている方でもなかなか登れない。
これは、逆に言えば、「日本にボルダーの伝統がない」、ってことなのか?

2009年7月10日

「義珍の拳」今野敏(集英社文庫)

内容 歴史拳法小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 85点
気分 非常に、興味深い
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 時は明治。
琉球の下級士族の家に生まれた富名腰義珍は、
生来の病弱を克服するために門外不出の秘伝であった唐手を学びはじめる。
ひたすら同じ型を練り続ける日々の中で義珍の心身は強靱になり、修行にのめり込んでいく。
そして時は移り、教育者となった義珍は、唐手を青少年の育成に役立て、
古伝の精神を本土に普及させることを決意する。
琉球秘伝の「唐手」を極め、本土に「空手」を伝えた男の生涯。

沖縄から、どのように空手が伝わってきたのか?
非常に興味深い作品。
このような拳法小説、って好き。
わくわくする。
2009年3月29日

「疑心」今野敏(新潮社)
内容 警察小説、「隠蔽捜査」シリーズ第3作にして最新作。
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 92点
気分 快調なり、第3作
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 キャリアながら息子の不祥事で大森署署長に左遷された竜崎伸也。
異例の任命で、米大統領訪日の方面警備本部長になった彼のもとに飛び込んできたのは、
大統領専用機の到着する羽田空港でのテロ情報だ―。

オビの文句は下記のとおり・・・
訪日する米大統領がテロの標的に!
空港封鎖を主張するシークレットサービス、
美貌の女性警察キャリア、
単独捜査を強行する所轄刑事・・・。
方面警備部長・竜崎の心は揺れ動く。

(以上、転載終了)
やはり、おもしろい。一気読み。
今回の重要キャラは女性キャリア。
今まで、不動心で合理思考だった竜崎が揺れ動く。
その心理が見物。

2009年3月22日

この3週間ほど、拳法小説を読んでいる。
けっこうおもしろい。
今野敏氏による下記のシリーズ。
孤拳伝 沖縄篇
孤拳伝 春秋篇
孤拳伝 覚醒篇
孤拳伝 龍門編
孤拳伝 群雄編
孤拳伝 流浪篇
孤拳伝 烈風篇 下
孤拳伝 烈風篇 上
孤拳伝 迷闘篇
孤拳伝 黎明篇 
途中で、歴史・文化について蘊蓄が語られ、その部分が興味深い。
例えば・・・(以下、転載)
「忍法というのは、山伏の修験道から生まれたといわれている」
「古来、日本には山岳信仰というのがあってな・・・。山を神聖なものと考えるのだ。
役小角(えんのおづね)が始めたといわれる修験道は、古神道に流れをくんだ山岳信仰のひとつだ。
修験道の修行者を山伏と呼ぶが、山伏は杖術を中心とする独自の兵法を編み出した。
やがて、この修験道は、密教と結びつき、山伏たちは、自分たちの兵法のなかに、密教の手法を取り入れた。
さらに、山伏は、安倍晴明が集大成した陰陽道を吸収した。こうして山伏兵法は発展してきた」
「オンミョウドウ・・・?」
「易学を基本とする修法だ。こうした山伏兵法は、奈良・平安といった時代を通じて僧兵を生んだ。
山伏は、密教化した寺院に入り山伏房を作った。
これが、下級貴族や地方の豪族の子どもたちに山伏兵法を伝え、やがて武士を発生させるきっかけとなった。
平家や源氏という武士が身につけていたのは山伏兵法だった」

(以上、転載終了)

2009年3月8日

「果断」今野敏(新潮社)
内容 警察小説、「隠蔽捜査」パート2
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
点数 94点
気分 1作目に劣らず面白い、完成度としては上かも
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 混乱する現場で対立する捜査一課特殊班とSAT。
現場で指揮する竜崎の決断は。
警察庁から大森警察署署長に左遷されたキャリアの竜崎伸也。
襲いくる様々な圧力に竜崎は打ち勝つことができるのか。
「隠蔽捜査」がおもしろかったので、パート2を読んでみた。
(1)より完成度高いかも、ストーリー遜色なし。
面白さベクトル減少せず。

2009年3月1日

「隠蔽捜査」今野敏(新潮文庫)
内容 警察小説
一般的面白さ ★★★★★
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
点数 94点
気分 もっと読みたい
オススメ ★★★★★
警察小説、ってこんなにおもしろかったのか。
それとも今野敏作品だから?
当時評判になっていたのは知っていたけど、
警察小説は私の守備範囲では無いので、避けていた。
でも、たまたま読んでみたい気分になった。
さすが、評判どおり。
主人公はエリート官僚で、イヤなヤツ、って感じで登場するが、
途中からどんどんかっこよく見えてくる。
(見事な構成だ)
家族小説としても読める。
オススメ。