【寄稿文栗原さんの「ライフル・レポート」】
(2008年9月1日開設)

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栗原さんより「ライフル・レポート」をいただいた。

栗原氏、5つめの寄稿文。
今までいただいたのは・・・
@ロデジャ・クライミング報告2005
Aプラナンレポート2005-2006
Bプラナンレポート2006-2007
C中国レポート2007−2008

そして今回のレポート。
毎回、味があり、視点がおもしろい。
感謝!

byたきやん

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アメリカ・コロラド州ライフルへ行ってきました  by栗原



81日から17日までアメリカ・コロラド州ライフルという
 ロッキー山脈近くの岩場に仲間
4人と岩登りに出かけました。


時差ぼけ

 アメリカに行くと必ず時差ぼけになる。
治るのには
1週間近くかかり、昼間は眠たく必ず夜中にパッチリと目が開き、その後変な夢を見る。
今回印象に残っている夢は、
@定時制に転勤した夢をみた。
A生徒向けに求人票が送られてきた企業に就職することになり、
本当に教員を辞めるてもよいのか悩むという夢を見た。
誰か私の深層心理を解明してほしい。

 

レンタカーを借りる

 予約していたレンタカーであるが手続きに時間がかかる。
やっと駐車場に向かい、指定された番号に停めてある車に荷物を積み、さあ出発というとき
「それはオレの車だ。」という人が現れた。なんとその駐車場係りの人であった。
カウンターの人が間違った番号を言ったのであやうく他人の車で出かけるところであった。
再度確認し、別の係りの人の案内で車へ向かう。
するとその係りの人が「聞きたいことがある。」という。
「どこからきたのか?」
「日本」
「そうか、きみら北京の人たちにインターネットで写真を送っても遮断されるのか?
 きみらの国にはなんか防御されてるか?」
この人は日本も北京もゴッチャになっててアジアの方という概念しかないようだ。
たまたまオリンピック開催中だったので北京という地名を知っていただけか。
また、アジアは不思議な地域という偏見があるようだが、
残念ながらこれはアメリカ人労働者のアジアに対する一般的な概念であろう。その理由は後で。


(モーテルからの景色)

モーテルへ向かう

 アメリカで宿泊するのはモーテルが安くて便利。
ところが、今回はモーテル探しに苦労する。
コロラド州西部ではガス・石油会社による掘削が盛んに行われ、
その労働者用の宿舎としてモーテルがほとんど予約でいっぱいであった。
これは予想外の事態で、
2週間連泊の宿を探すのにライフル西隣町のパラシュートまで
行かなければならなかった。
やっとのことで、見つけた。部屋はきれいだがトイレは流れが悪い、
シャワーはお湯が
3分後には水になり滝に打たれる修行状態となる。
また、友人の部屋ではトイレ天井の大きい電球が換気扇の振動で緩んで突如落下し、便器を直撃。
もし頑張ってる最中だったら?!

 部屋の前の廊下で車椅子の老人に「アンニョンアシムニカ」と挨拶される。
日本人であることを告げると、日本に
1年、韓国に3年いたという。
きっと退役軍人だろう。日本に行ったことがあるという男性の多くは軍人であった。

 アメリカの一般店舗で新札が使われることはほぼない。
我々が両替したての新札を使うと、喜ぶどころかグシャっと握る。

2
枚重なってないか確認しているのだがちょっと・。


(グレンウッドの街並み)

地元の祭り

 地元の地方紙を毎朝読むのが日課であった。
警官に追われた男が苦し紛れにコロラド川に飛び込み
1マイルほど流された事件など
地元密着というかホノボノした記事が多い。
その中で、ライフル東隣町のシルトで
HeyDayというイベントがありその記事を読んだ。
イベントの中で面白かったのは、パイを購入しそれを町長の顔に投げつけるというもの。
パイの購入代は地元の社会福祉団体に寄付されるという。ぜひ京都市でもやってもらいたい。
また、地元のテレビでは
9月の新学期に備えて文房具の寄付を呼びかけるイベントの報告があった。
決して貧しい町ではないがデンバー近くのオーロラという町では、
新学期に多くの子供が何も持たずに登校するという。

世界最大の温泉  

 ライフルより車で50分のところに世界最大の温泉グレンウッドスプリングスがある。
といってもプールのようなものでみんな水着で泳いだり、つかったりしてる。
グレンウッドスプリングスは観光地でアムトラック鉄道駅もある。
デンバーまで一日一便。貨物列車も見かけたが、長さは
1キロ以上であった。


(巨大プールの温泉)

デンバー観光

 デンバーでは825日から28日まで民主党の党大会が開かれる。
オバマ氏が大統領になれば歴史的な初非白人大統領となり
その記念すべき党大会なので、かなり期待した。
しかし、目抜き通りには党大会のノボリが上がっていて、
土産物屋にはオバマ
Tシャツ(2枚購入)が並んでいる程度で
期待したほどの盛り上がりはない。一応会場となるペプシセンターまで行くが、会場内は撮影禁止。
時間がなく入ることもできなかった。無料で乗れるフリーモールライドというバスに乗り、市内観光。
ビデオを撮っているとインチキくさい男が「カメラマンを撮るカメラマン!」とか言って私を撮る。
聞くと写真の展覧会か写真家の集まりがあって昨年日本に行ったと言ってるがどうも嘘くさい。
また、銅像の様にジッとしていて急に動いて通行人をおどろかす大道芸人がいた。
このネタはスペイン・バルセロナで見たものと同じ。
デンバーはアフリカ系の人は少ないが、ホームレスの人はほとんどがアフリカ系であった。

 

アメリカは変わるのか?

 前回アメリカに行ったのはイラク開戦後であったので町中に星条旗があふれ異様な感じだったが、
今回はそのようなことはない。テレビはオバマ氏とマケイン氏の報道が盛んだ。
オリンピックは
CNBCが放送を独占。
ニュースはアメリカ関連のものばかりで他国に関する報道が少ないというかほとんどない。
新聞でもそう。
従ってレンタカー屋の駐車場係のような人ばかりとなる。アメリカはやはり内向きの国。
オリンピックも自国選手の報道ばかり。
テレビではマケイン氏によるオバマ氏の経験不足を攻撃するネガティヴ広告が目立つ。
Is he ready to lead?」というのが決めセリフ。
また、オバマ氏が
CO2削減の具体策として「車のタイヤの空気圧を適正にしよう。」というと
「そんなことは
70%の人が実践している。それに科学的根拠はあるのか?」と反論。
極めつけはオバマ氏が「オフィスの冷房を華氏85度にしよう。」と主張すると
「そんなことは社会主義者の言うことだ。」と反論?はたして新大統領は?

 

インタビュー

 今回はビデオ持参。デンバーの町の様子を撮って授業で見せようと計画。
ついでに、アメリカ人インタビューを決行。
岩場で出会ったやさしそうな人にインタビューをお願いした。
This is CNN Larry King Live!”というベタなジョークでも笑ってくれて一安心。
ビデオを撮りながらのインタビューは大変だったがなんとか終了。これも教材にする。

一人目はキャシー。看護士の勉強を始めて3ヶ月。彼氏とデンバーに住んでいる。
「看護士の勉強で大変なことは?」と聞くと
「多くの情報をすばやく判断し対応すること。」
お母さんは日本人で佐世保生まれ。お父さんは海軍。日本にも
2度来たことがある。
オバマ氏を支持する民主党員。
二人目はウエンディ。
1年半にわたるクライミング旅行中。
「日本のイメージは?」と聞くと
「清潔、人が多い、ハイテク」という返事。
「ハイテクってソニーとか?」
「いや、暖かい便座」
「アメリカにはないの?」
「そんなの見たことない。」
「あそう、あの便座はいいよ〜
!!」(笑)
あとで聞くと、彼女のお母さんが日本に行き、帰ってきて開口一番
「日本にはこんなすごいものがある!!」といって教えてくれたらしい。

クライミング編

 今回のツアーも特別な事前トレーニングをすることなく参加した。
しかし、トレーニング不足のため前半はボロボロだった。
すぐに腕が張りクライミングを始めた当初のような感じであった。
それでもようやくツアー最後の
3日間で成果をだすことができてほっとしている。
効果的であったのは、朝風呂。前腕の張りがスッキリ取れる。
朝起きて「あ〜、やっぱりまだ腕張ってるな〜・・」と思っても、
朝風呂に入ったとたんにあら不思議!?今回も参加メンバー全員朝風呂効果抜群であった。
以下トライしたルート。


(四角いボックスは簡易トイレ)

Merry Maid 10a Middleice Caves): M O/S

  凹角を登っていく変化のあるルート。回収がちょっと大変。☆☆☆

 

Nessun Dorma 10c (Ruckman Cave) : ×  

  マスターオンサイトトライするが2回テンションが入る。
ムーヴがありおもしろいが、 
11aあってもいいのでは?☆

 

Bulges of Munge 10c (Meat Wall) : M O/S

  少し遠い細かいカチを取りに行くところが核心。☆

 

PMS 10cNappy Dugout) : F

 ヌンチャクが掛かっていて助かった。これといったムーヴはないが悪い。
 11aあっても いい。トポでは☆☆☆だが、☆☆ぐらい?

 

Ivory Tower 11a (Nappy Dugout) : 敗退

  悪いアンダーで悪いカチを取りにいくのが第一核心。
 そこで敗退。第二核心もあるって
11aじゃないでしょう。
 フェースはグレード辛め。

  誰だ!トポに☆を3つもつけたのは!!

 

Cold Cuts 11a (Meat Wall) : 2撃

   ツルツルスタンスが核心まで続く。上部核心はちょっと曲者。
 ツルっとすべってフラッシュ逃し。アップルートなので朝は大混雑。☆☆

 

Feline 11a (Middleice Caves) : 2撃

   核心を越えてフラッシュしたかと思いきや、ライフル名物縦ホールドの餌食に。
  ※右手縦ホールドにギャストンで左手でガバを取りにいくというムーブに気づかずフォール。
 考えてみればこのムーブはこのルートで
3回目。
 落ち着いて考えれば分かるはず!?
☆☆☆

 

Eighty Feet of Meat  11b (Meat Wall) : F

 会心のフラッシュ。このツアーで一番うれしかった。
 これもアップルート。
1時間待 たされた。
 ガバが続き休みながら登る。中間部でジャミングも動員して大レスト。
 核心のカチをつかんだときは声が出た。☆☆☆

 

Rumor has it  11b (Sapper Cave): 3撃

 トポには連続写真も乗っている。ライフルで最初に開かれたルート。
 誰かがボルトを打ってるらしいぞ!っていう噂(
rumor)からルート名がついたらしい。
 縦ホールドが 連続する。その処理が大変。人口壁クライマーには厳しい。

  1
便目は拷問であった。
  U田さんにヌンチャクをかけてもらったから抜けられた。
  2便目でU田さんのアドバイスもありムーヴ解決。思いがけず3便目でRPできた。☆☆☆☆

Choss Family 11c (Ruckman Cave) : 8撃

   ツアー前半の不調を象徴する結果となった。ムーヴは解決しているが、何故か腕がもたない。
 いま思えば前半はトレーニングだったのかも。最後核心は※ムーヴ。ちょっと厳しい。☆☆

 

Fistfull of Dollars 11c (Project Wall) : 2撃

  多彩なムーヴが楽しい。☆☆☆だがもうひとつ☆つけてもいいぐらい。

 

Firearms 12a (Ruckman Cave) : 4撃

   ムーヴが分かればやさしいかも。最初人に核心ムーヴを教えてもらったが、パワフルすぎて×
 3便目にマイムーヴを発見。4便目で
RP。やはりムーヴ解決は自分で。
  核心最後は※ムーヴ。☆☆☆


climber = kurihara


メキシコ料理、美味い!