【参考】 |
書名 | オススメ度 | 内容 |
「深夜特急」(全6冊) | ★★★★★ | 紀行文のクラッシックスタンダード |
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2008年2月19日(火曜) 「深夜特急」(全6冊)沢木耕太郎(新潮文庫)
今までいろいろな紀行文を読んだがこれがベスト。 すばらしい内容。 自分の感情、行動を客観的に表現している、その距離感がよい。 全6冊の中でも、3,4冊目が白眉。 やはり、なじみのない異郷が興味深い。 カルチャーショックも大きい。 読んでいるだけでも衝撃が大きいのに、実際経験したらどうだろう? エピソードを1つだけ紹介。(67ページ) ・・・インド編では、乞食が至るところにいる。 歩いていたら手が差し出され金を要求される。 あるとき著者が歩いているいると、7,8歳の少女がついてくる。 「10ルピー」、と声をかけてくる。 著者が首を振ると、慌てて「6ルピー」と言い直す。 首を振って歩き続けると「5ルピー」「4ルピー」「3ルピー」と下がっていく。 フト著者は気づく、 『少女はその金額で自分の体を買ってくれないかと言っていたのだ』、と。 少女に3ルピーを手渡し、グッバイと言って離れるが、ついてこようとする。 なんとも哀しいエピソードだ。 ・・・多分、この子は意味が分からなかったんでしょうね。 「お金を恵まれた」、と理解できなかったんでしょうね。 「自分が憐れまれた」、と思いもしなかったんでしょうね。 もし私がその子ならどう感じただろうか? おそらく頭の中はハテナ記号でいっぱいになっただろう。 (私のどこがいけなかったの?)、と。 (身体がくさかったのだろうか?)、と急いで沐浴に行ったかもしれない。 (私がかわいくないから?)、と悩んだかもしれない。 (服がおしゃれじゃないから?)、と悔やんだかもしれない。 (どうして私を買ってくれなかったの?)、とお腹をすかせて呆然としただろう。 他にも、読んでいて考えさせられるエピソード多数あり。 一度読んでみて。 全6冊と長いけど、読む価値有るよ。 長さを忘れるおもしろさ。 オススメ。 PS1 このような旅を、いつか私もやってみたい。 (ほんとは30までにすべきだろうが) でも、遅すぎることはない。 体力と気力が残っていたら・・・。 その為に胃腸を鍛えたい。 著者はあちこちの屋台で食っているが、ほとんど腹を下さず。 驚異の胃袋、である。 羨ましいかぎり。 PS2 この本の価値はなんだろう? 実用書、人生論、ルポルタージュ・・・いずれも中途半端。 では、この本のおもしろさは何か? 著者のリアクションが興味深いのだ。 アクシデントや事物、人物にたいする行動と感情。 それが考えるヒントになる。 心に感じるものがある。 様々に惹起されるものがある。 それがおもしろい。 【おまけ】 地球の歩き方マガジン、って雑誌がある。 96年秋号『旅に誘う本の特集』があった。 読者に選ばれたベスト5を転載する。
*3位に「ドナウの旅人」がランクインしているが、 同著者では「愉楽の園」もおもしろい(タイが舞台)。 |