【寄稿文栗原さんの『ロデジャクライミング報告】
(2005年9月18日開設)

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栗原さんよりレポートをいただいた。
「ロデジャクライミング報告」である。(感謝!)
飯田さんと同じツアーだが、
視点を違えて楽しめる。
(親子で参加されているし)
一般情報も丁寧に書かれている。
会計報告も大変参考になる。
byたきやん

 ★ ★ ★
へたっぴの、へたっぴによる、へたっぴのための
ロデジャ・クライミング報告byチーム・クラマグチ 栗原
【2005年8月4日(木)〜2005年9月20日(土)】

  私と息子以外は、全員サーティーンクライマーというメンバーで参加したスペインツアー。

/4 関西国際空港より出発。
エコノミーなのに席ごとにスクリーンがあり、映画やゲームが楽しめる。ゲームにはまり、退屈することなくアムステルダムへ。乗り換えてバルセロナ着。空港で覚えたてのスペイン語で「トイレはどこですか?」と尋ねると、スペイン語で答えが返ってきて結局英語で聞き直す。片言でも通じると楽しい。
S山さんと合流し、レンタカーでロデジャへ。途中、SAで夕食。かなりのボッタクリ的値段であった。 スペインに詳しいにM旗さんの運転で、夜中過ぎにキャンプ場着。天の川が信じられないほど美しかった。仮眠の後、岩場へ。キャンプ場から近く、ルートも易しいのが多いエル・カミノへ。2時までクライミング。その後ウエスカで買い出し。夜はキャンプ場のレストランで入山祝いの祝杯をあげる。パエリヤ、赤ワイン、ソーセージが最高。キャンプ場受付では、この地で活躍されていたY子さんのおかげで
「ヨリコ、アミーゴ!!」とホッペどうしをつけてチューをする歓迎を管理人のおばちゃんフィナから受ける。
 Y子さんにはバンガローの予約などで大変お世話になった。

Para mis amigos6a+ 父=MO/S  息子=F(フラッシュ)
楽しいルート。グレード相応である。

Sonrisa vertical6b =1撃ならず 息子=トライせず
一カ所悪いところがあり、そこで足を滑らせる。

Los loros6c 父=O/S 息子=F
ちょっとしたムーヴがあるのは一カ所。あとはガバで快適。

Good txingu good6b+ =一撃ならず  息子=トライせず
下部のスラブと上部のパワーのいる乗っこしの2カ所。ちょっと辛い目の6+

Toma castanazo7a+
I田さんがマスターオンサイト。お買い得のようなので親子で一回ずつトライ。RP可能性大。

8/6 アクエスト・エニ・シへ行く。

L'ombre de la barca6c 父=O/S 息子=F
30bのルート。高度感抜群。出だしがちょっと悪い。最後にもちょこっとムーヴあり。
親子で易しいルートのあるラティーナへ移動。

Noir Tango6b+ 父=Mo/s 息子=F
短いが、ガバとハングを乗っこす楽しいルート。

Bolska6a+ 父、息子=F
ガバでフレークや凹角もありムーヴも楽しい三つ星ルート。

クリミナル・タンゴへ行ってみる。
Aranmanoth6c  =マスターオンサイトならず。息子=トライせず。
 下部の核心を越え、凹角に入る直前でフォール。後で見ると目の前にホールドが。悔しい!フェースでちょっとランナウトが怖い。

★8/7 エル・カミノ
Toma castanazo7a+  父、息子=RP(3撃)
 5日に1回トライしたルート。出だしのプチ・ボルダー、中間部の遠いポケットやクロス、後半のかぶったガバと楽しい。父がヌンチャクをかけ、親子そろってこの日の2便目で仲良くRP。思いがけず早くから成果が出て嬉しい。

 京都のMさん夫婦と出会い、お薦めルートを聞いていたら、きれいな金髪のお姉さんが話しかけてきた。どうやらパートナーがいないので、ロープを貸して欲しい、ビレーもして欲しいということであった。聞くと彼氏とはぐれたとか。前回OSした6cを進めてあげたら、長身を活かしてマスターオンサイト。しばらくして彼氏が登場。息子がその彼氏はワールドカップチャンピオンのトーマス・ムラツエックでは?と気づく。本人に確認すると、なんと答えはイエス。感激して、サインをもらう。周りのクライーは「こいつらこんな有名人も知らんのか?」という感じで我々を眺めていた。

ピンス・サンズ・リレへ移動。

Esclava laboral6c
 上部はかぶってガバだが、抜けが悪いコルネのスローパー。下部も少し悪い。しかし、コルネが発達していて大変おもしろい。6+は欲しいところ。親子で1回ずつトライ。もう腕は終わっていた。

★8/8 レスト
    サルゴサで観光。大聖堂を見学。昼食は、町の広場にあるレストランで。店の前の屋外で食事をすると2割ほど割高になってしまった。でも外の食事は気持ちいい。その後お城に行くが、10分遅れで入れず。シエスタの時間となってしまった。町の中はスプレーの落書きが目立つ。ハーケンクロイツの落書きもありちょっとビックリであった。ウエスカで買い出し。前回は戸惑っていた野菜売場も今回は簡単。計り売りは、客が野菜を袋に入れ、それを店内の計量器にのせて、各値札についている所定の番号をおせばバーコードのついた値札が出てくる。それを袋に貼り付けてレジへ持っていくというシステム。完全にお客さんを信頼したシステムにビックリ。魚売場のお姉ちゃんも元気がいい。通じないとわかっていてもスペイン語でいっぱい声をかけてくる。スペインではよくこのようなことがあった。ムール貝やイカが安い。この日はシーフードの夕食。T下さんの料理は抜群。

8/9 マスクン。朝は山羊がいる。登り着いた時、顔を上げると山羊と目があった。
Bis a bis7a 息子=2撃
 Mさんお薦めのルート。このエリアはロデジャで一番目立つアーチの隣にあり、高度感・ロケーション抜群で、高難度ルートがひしめいている。その隅っこにあるルート。M旗さんにヌンチャクをかけてもらい、まず父がトライ。1ピン目までが階段だが遠く、高度感もあり遠くから見てるとかなりヤバそう。中間部の核心はリーチのある人には簡単だが、チビには辛い。キョンとクロスの連続でムーヴ解決。かなりエネルギーを注ぐ。
なかなかカッコイイムーヴで解決できて満足。このムーヴで息子はあっさり2撃。父はあと2便だすが、RPならず。

★8/10 マスクン
Bis a bis7a =5撃
 前日の宿題。この日の2便目でRP。後半はかぶったガバ。上部でホールドがぐらついているので注意。三つ星の好ルート。

Juany Fran se nos van7a+
 途中に大きなコルネがあり、ノーハンドレストができる。ひとが隠れてしまうくらい。我々は「かくれんぼルート」と名前をつけた。息子は2回トライ。I田さんオンサイト。調子のいい地元クライマーが写真を撮ってやるとはりきっていたが、ノーハンドレストの部分ばかりを撮り、せっかくのロケーションをバックにしたクライミングは一枚も撮られていなかった。I田さんの失望は大きく、年賀状用写真はかなわなかった。父トップロープ回収。中間部に核心があるが、内容はすばらしい。次回があればぜひやりたい。

 地元クライマーが現れる前に、ムラツエックが来た。しばらくして、【Pata negra8cを登り始める。気迫のクライミング。思わず何枚か写真を撮る。そして、ビレイヤーの彼女に尋ねると、なんとオンサイト!!世界で平山ユージに続いて2人目の快挙!!!しかもその場にいたのは、I田さんと我々親子の3人だけ!ムラツエックと彼女を含めて記念写真を撮る。大感激である。

(左端:栗原さん息子、右端:飯田さん/撮影:栗原さん)

★8/11 レスト
  バルバストロのスーパー「サベコ」へ。ショッピングカートは1ユーロをハンドル部分に入れるデポジット方式。肉と魚の生鮮食料品売場は、日本の病院のように札を取って順番待ちをしなければならない。野菜の量り売りは、担当の人が計量して値札を貼ってくれる。スーパーによってシステムが違うのでかなり戸惑い、時間をくう。

★8/12 エル・カミノ
Billy el rapido7a+  父=3撃 息子=2
 出だしボルダー、ガバが続くが腕が張る。上部ではチビには辛い箇所があり、細かいカチで耐えなければならない。父がヌンチャクを掛け昼過ぎには二人でRP。登れた時は、中間部で大レストし、腕がなんとか回復。レストのコツが少しわかったような気がした。

 ボルダー・デ・ジョンへ移動。どうも岩場の様子が変。奥の方で倒れたクライマーを数人が取り囲んでいる。どうやら事故のよう。他のクライマーに聞くと、ビレーのミスで、ほぼ終了点近くからのグランドフォールらしい。意識もあって話もしているのでまさかそんな大事故とは思わなかった。頭を抱えて座り込んでいる人は多分ビレイヤー?
 しかたないので、カフェ・ソロへ移動。やがてヘリが来た。

Zero de conduite7a/+
 取りあえずヌンチャクをかける。フェースでちょっと平凡な内容のルート。もうよれている。息子も1回トライする。

8/13  午前中は、買い出し。午後からクライミング。
 ボルダー・デ・ジョンへ。
【名無し】7a+ (岩場にはルート名が書いてあったが判読不明。トポには名無し)
このエリアの一番左にあるルート。前半はハング、中間部はフェースがあり後半はかぶったガバでトラバースするという変化に富んだ好ルートである。中間のフェースで苦労する。カチが遠く辛い。息子とS山さんは難なく届く。別のムーヴで一応解決するが、かなり厳しいムーヴになってしまった。この日は親子とも2便を出す。

 隣のバンガローのフランス人たちとプチ宴会をする。前夜の予定であったが、延期となった。お誘いはお隣から。
「お互いうるさければ、率直に注意しよう。」「ワインをどうぞ。」など以前から積極的に声を掛けてもらっていて、この宴会となった。折り紙で鶴を折ってあげたり、
M旗さんの自己流太極拳で大いにもりあがった。お隣は約10名。毎年このキャンプ場に来ているそうだ。フランス南部のボルドーの人たち。バイク屋のオヤジや高校数学の先生など。フランスにはバイクメーカーがないので、日本車をあつかっているらしい。私が20年以上前に乗っていたホンダCB750K1)のことを話すと知っていたので嬉しかった。高校の先生から「私は5週間のバカンスがあるけど、あなた達はどれくらい?」と聞かれて「わたしたちは、頑張って2週間とったけど、ひとによってはほとんどない人もいる。」と答えると驚いていた。そりゃそうだ。やっぱり日本人は働き過ぎ・・・・。

★8/14 ボルダー・デ・ジョン
【名無し】7a+
父ヌンチャクを掛ける。息子は上部でフォールといい線をいっている。この日の最終便でRP。5撃。父は中間の核心はクリヤしたが、腕がパンプしてどうにもならなかった。

★8/15  レスト
  のんびりとレスト。ところが、食糧がいっぱいあって余らせることができず困る。岩場で出会った日本人クライマーを夕食に招待する。

★8/16 ボルダー・デ・ジョン
【名無し】7a+
ヌンチャクを掛けて、この日の2便目。当然RPのつもりであったが、上部でフォール。登れなくてもこの便でやめようとプレッシャーのかかった3便目で、足ぶらになりながら気合いのRP。あ〜よかった。結局8撃であった。息子とは少しずつ差が出始めた。息子はS山さんがヌンチャクをかけた【Chao bambino7a+にトライ。かなり厳しいようであった。同じ7a+でもかなり幅があるようだ。クリミナル・タンゴに行くがルートを占拠されていてトライできず。息子はアクエスト・エニ・シ7bにトライ。

★8/17 エル・カミノ
Bugs bunny6a+
息子マスターで取り付くが、まさかのテンションが入る。父トライするもまさかのテンション。二人ともかなり腕が終わってる。

Futuras promesas6c  息子=2撃
父ヌンチャクを掛ける。I田さんオンサイト。コルネも適度にあり、おもしろい。息子は2撃するが、父は最上部でパンプしあえなくフォール。

 最後は少し心残りであったがバルセロナへ移動。お楽しみのバールへ。少し高かったが、味は申し分なし。少し疲れていたので賑やかな店の雰囲気はちょっと辛かった。

★8/18 バルセロナ
  念願のサクラダ・ファミリア聖堂を見学。階段で最上部まで上がってガウディ建築を堪能。国立競技場でFCバルセロナのオフィシャルショップへ。サッカー好きな人はたまらんのやろなーと思いながら、ぼーっとする。サッカーには興味なし。バルセロナは地下鉄が便利。しかし、すべての窓にひっかき傷のような落書きがある。また、平日の朝8時なのにスーツ姿が誰もいない。結局、地下鉄でスーツ姿の人は見かけなかった。デパートの店員さんはスーツ姿。あと、市内の大道芸人も楽しい。しかし、貧しい人や身体に障害のある人が物乞いをしているのは心が痛んだ。


 

 

 











  (サクラダファミリー)

   おおまかな会計報告     1ユーロ=144円

全体会計から主に支出したもの                               
1)食料代(全体で買いだした分)249,37ユーロ→一人約41,56ユーロ 
2)ガソリン代 119,90ユーロ → 一人約20ユーロ
3)外食代(昼食23,88ユーロ、夕食126,95ユーロ)→ 一人約27,42ユーロ
4)その他 36,15ユーロ → 一人約6,02ユーロ
 EPIボンベ5ユーロ、駐車代5ユーロ、お土産17ユーロ、高速代約5ユーロ?ワイン4,15ユーロ)
   ※高速代は記憶記録が不明
                   556,25ユーロ @一人92,70ユーロ
            ※実際には人数が一定でないのであくまでも目安。

個人的消費
1)飛行機代 一人  224410=1558,40ユーロ
2)バンガロー代 (1泊65,60×13+59,70)→ 一人約153ユーロ
   ※実際には部屋の違いや宿泊人数や泊数の違いがあり、正確なものではない。 あくまで大まかな目安と考え   て下さい。
3)レンタカー代(9人乗り、任意保険込み)約1200ユーロ→一人200ユーロ
4)食料代(おもに朝食と昼食の買い出しなど) 一人50,70ユーロ
5)その他  132ユーロ
 (土産約50ユーロ、トポ17ユーロ、地下鉄約10ユーロ、観光8ユーロ)
6)宿泊代(バルセロナ)アクロポリス:一人20ユーロ×2=40ユーロ
7)昼食(バルセロナ)バイキング+ワイン=8,2ユーロ
                                      A計 2142,30ユーロ
                  @+A=2235ユーロ=321840

★飛行機代を事前に旅行会社に支払い、関空で約10万円をユーロに替えた。
★帰りの飛行機で合計荷物重量が18`超過し250ユーロを支払う。上記に含まず。
VISAカードなどは必携。いざというときに助かる。

エリアについて
 基本的には7a以上の岩場である。6代はルート数が少ない。日本で12aがスラスラ登れる人には最高の岩場だろう。しかし、私のような下手でも楽しめたのは、質の高いルートが多く、夏は雨が少なく快適なおかげ。どのエリアにも徒歩で行ける。運動靴がよい。意外にも日本人クライマーが少なかった。少し岩が安定していないところもある。実際にホールドが剥離して墜落した事故にも遭遇した。幸いにもクライマーは切り傷ですんだ。犬の糞はし放題、人間のほうもペーパーがそのままになっていてちょっと残念。

キャンプ場
 キャンプは二カ所。岩場に歩いて行けるのはマスクン。食糧やレストランも充実。シャワー・トイレもきれい。EPIのガスボンベを売っているのがうれしい。我々が泊まったのはエル・プエンテ。岩場には車で数分。朝早く行かないと止める場所に少し苦労するかも。シャワー・トイレはきれい。お湯はぬるいことが多かった。バンガローに泊まるならこちら。シーズン中は予約が殺到するので早い目に。レストランや売店もよい。簡単なものならだいたいそろう。バンガローは食器もあるが、まな板包丁があると便利。コンロはライターが必要。シュラフはほとんど使わなかったが、車中泊や到着時の野宿には必要。こちらのキャンプ場はクライマーが少なく、ファミリーでにぎわっていた。管理人のフィナはすてきなおばさん。娘さんは英語が話せる。

移動
1)レンタカー(ハーツ)
   日本で予約して、現地で任意保険に加入。その際、値段と内容をきちんと確認する必要あり。事前に日本で調べていたものと少し内容が違っていたのでとまどった。また、借りる時にはきちんと車の傷もスタッフと一緒に確認し、所定の用紙に記入するのがよい。貸す時は気楽に貸してくれるが、返却時にはチェックが厳しく、古い傷もあやうく我々の過失にされそうになった。また、フランスでは、予約していたはずの車がなく半日も待たされたという日本人クライマーもいた。3月以上滞在ならユーロカーがお得。
2)バルセロナ市内
   地下鉄が便利。回数券(10ユーロ)はみんなでの使い回しができる。どこから乗っても同じ値段。バルセロナ市内は一方通行が多く、地元のタクシーですらうろうろするほど複雑である。バルセロナ空港からはA2を通ると早くて便利。ガソリンは高い。

言語
 普通のところではあまり英語は通じない。思い切って片言スペイン語を楽しもう。発音は日本語のカタカナ発音で十分。「地球の歩き方」の裏に載っているいくつかの表現でも十分楽しい。しかし、「トラベルスペイン語会話」などを使うともっと会話が広がる。スーパーの買い物や病院などでは辞書が欲しい。日西、西日があると安心。「〜はどこですか?」をスペイン語で言えると便利であった。

食事
 キャンプ場では自炊が安くていい。買い出しのスーパーは車で30分。バルバストロの「サベコ」。日本から持っていったカレーのルーが便利。料理の得意な人がいれば最高。ビールもワインも安くて旨い。スペインですっかり太ってしまった?体重計には怖くてのれない。日本茶パック、梅干し、乾燥梅干し、塩昆布、おしゃぶり昆布は好評。

気温
 朝夕は少し冷えるが快適。長袖は必携。一度夕立があった後は気温がぐっと下がり寒かった。
ヒョウが降ることもあるらしい。