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多島斗志之-直木賞候補作家-101TT

多島斗志之 作品一覧: 紀伊國屋書店BookWeb

多島斗志之 - Wikipedia

感傷コンパス 多島斗志之



書名 オススメ度 内容
 「私たちの退屈な日々」 ★★★★☆ ブラックな短編集、「少年たちのおだやかな日々」姉妹編
 「黒百合」 ★★★★☆ 文芸+ミステリの融合
 「<移情閣>ゲーム」 ★★★★ スケールの大きな国際政治小説
 「白楼夢−海峡植民地にて」 ★★★★★ 1920英国領シンガポールを舞台にしたミステリ
 「感傷コンパス」 ★★★☆ 昭和30年、山里、分校物語。
 「少年たちのおだやかな日々」 ★★★★☆ 少年たちのおだやかならざる日々
「離愁」(角川文庫) ★★★★★ 格調の高い純愛小説+歴史+ミステリ
「海賊モア船長の憂鬱」 ★★★★ 海洋冒険海賊物語
「追憶列車」(角川文庫) ★★★★☆ 多彩な短編集
「海賊モア船長の遍歴」(中公文庫) ★★★★★ 海洋冒険海賊物語
「不思議島」(創元推理文庫) ★★★★ 瀬戸内海の小島を舞台にしたミステリ
「症例A」(角川文庫) ★★★★★ サイコミステリ

2009年4月26日

「私たちの退屈な日々」多島斗志之(双葉文庫)

内容 ブラックな短編集、「少年たちのおだやかな日々」姉妹編
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★☆
ストーリー ★★★★★
点数 89点
気分 こわくて、おもしろくて・・・
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 女はこわいと言うけれど、本当のこわさをあなたは知らない。
―ある芸能人のファンになってしまった私。
彼に会いたい一心で、ついに自宅をつきとめたが…「取り憑く」。
夫が会社をクビになる。理由を聞いても納得できない私がとった行動とは…「ねじこむ」など、
平凡な日常を送っていた女性が遭遇する7つの出来事。
読み始めたら止まらなくなること必至の傑作短編集が、堂々の登場!
あなたの友人に、こんな女性がいたらどうしますか。
長い間絶版だったのが文庫本化された。
多島斗志之作品はよくタイトルが変わる。
この作品も文庫になるにあたり、変わった。
もとのタイトルは「もの静かな女たち」。
こっちの方が良かったように思うけど。

2009年3月16日

「黒百合」多島斗志之(東京創元社)
内容 文芸+ミステリの融合
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 93点
気分 「離愁」と比べてしまう
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。
きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」
父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、
一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女に出会う。
夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死―
一九五二年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、
文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。

どうしても「離愁」と比べてしまう。
「離愁」の方がおもしろい。(「離愁」完成度が高すぎ!)
それと比較すると、「ちょっと・・・」、って。
でも、それにもかかわらず読む価値はある。
レベルは高い。
ミステリ部分は、かえって邪魔な感じ。
純粋に文芸作品として楽しんだ方が良い・・・何となくそう思う。
PS
この作品って・・・『保塁岩』のあたりが舞台なのだ!
それだけで、興味津々惹きつけられる。
昔はこうだったのか、ふむふむ、って読んだ。

「<移情閣>ゲーム」多島斗志之(講談社)
内容 政治国際謀略小説
一般的面白さ ★★★★
個人的趣味 ★★★★☆
キャラクター ★★★★
ストーリー ★★★★
点数 88点
気分 孫文が身近になった
オススメ ★★★★
多島斗志之氏のデビュー長編。
後に「龍の議定書」と改題され、今回「<移情閣>ゲーム」として復刻された。
スケールの大きな国際政治小説。
「中国と台湾の代表を握手させてほしい」とシンガポール華僑実業家。
そんなことが可能なのだろうか?
時代は1980年代前半。
大手広告代理店に持ち込まれる
ストーリーは少しひねりすぎ?
でもおもしろい。
孫文に興味がある方、オススメ。

2008年3月1日(土曜)

「白楼夢−海峡植民地にて」多島斗志之(創元推理文庫)

内容 1920英国領シンガポールを舞台にしたミステリ
一般的面白さ ★★★★★
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★☆
ストーリー ★★★★★
点数 95点
気分 歴史小説、冒険小説、ミステリ渾然一体のおもしろさ
オススメ ★★★★★
おもしろい!
1920年代英国領シンガポールが舞台、ってだけで興味津々。
日本人同士の勢力争い。
華僑も一枚岩でなかった、と言う事実。
英国人の支配体制、階級制度。
ゴム農園、妓楼の様子。
ストーリー展開と共に、当時の風俗が浮き上がってくる。
もし難を言うなら、物語全体が淡泊な印象。
(好みの別れるところだけど)
白蘭をもっと登場させてほしかった。
呂家の兄弟関係(呂鳳生、虎生)を白蘭を交えて詳細に描いて欲しかった。
無い物ねだりだけど。
淡泊な文章が多島作品の魅力なのだから。

2008年2月10日(日曜)

「感傷コンパス」多島斗志之(角川書店)
内容 山里、分校物語。
一般的面白さ ★★★☆
個人的趣味 ★★★★☆
点数 84点
気分 昭和30年が楽しめる
オススメ ★★★☆
またまたやってくれました、多島斗志之さん。
こんなジャンルにも挑戦。
前回読んだのが、「少年たちのおだやかな日々」だったので、えらい較差を感じた。
内容は、昭和30年伊賀山里の分校に新卒で赴任した、明子先生。
担任クラスの人数は、4年生と5年生を合わせて6人。
それぞれ個性的な子どもたち・・・、って話。
私はこういう話が好きなんだけど、
あまりにもドラマチックな展開もなく、他の人には「たよりない」と感じるかも。
それで、オススメ★★★☆とした。
(もちろん多島斗志之ファンの方は必読)

【参考】
感傷コンパス 多島斗志之

2008年1月27日(日曜)

「少年たちのおだやかな日々」多島斗志之(双葉社)
面白さ
内容 すべて少年が主人公、おだやかならざる短編集
点数 94点
気分 これが「離愁」と同じ著者?衝撃
オススメ
多島斗志之短編集。
(多島氏の短編集は希少)
裏を見ると、1994年4月15日出版、とある。
全部で7編。
言いません・・・小説推理93.5月
ガラス・・・小説推理93.7月
罰ゲーム・・・小説推理93.1月
ヒッチハイク・・・小説推理92.5月
かかってる?・・・・・・小説推理93.5月
嘘だろ・・・小説推理94.1月
言いなさい・・・小説推理93.11月

おどろいた。
いずれも一癖ある、繊細且つ、毒のある内容。
こんな作品も書くのか!
例えてみれば、乙一氏のような作品?
(ただし、乙一氏のデビューは1996年なので、この作品のまだまだ後)
と言うことは、多島氏はとんでもなく多才な作家、ってことだ。
「症例A」「離愁」「海賊モア船長の憂鬱」・・・どれもまったく異なる内容。
いったいどうなってるんだ?
すごすぎる。

PS
絶版状態、入手困難。
筆者は図書館で借りた。

2008年1月11日(金曜)

「離愁」多島斗志之 (角川文庫)

面白さ
内容 純愛小説+歴史+ミステリ
濃度 見事な風味
点数 98点
気分 この格調の高さ!
オススメ


blue mountainsからの復路で読んだ。
おもしろい、と確信していた。
予想は裏切られなかった。
すばらしい。

格調の高い純愛小説。
(普段、筆者は純愛小説を読まない・・・多島作品だから読んだのだ)
歴史も学べ、ミステリとしての謎解きも楽しめる。
戦中、戦後、現在へと時代は流れ、
登場人物の連鎖も複雑に絡み合う。
あの有名な「ゾルゲ事件」も関わってくる。
2008年をこの作品で始められたことをうれしく思う。
自信をもって薦める、読むべし!

2006年12月3日(日曜)晴れ

「海賊モア船長の憂鬱」
「海賊モア船長の遍歴」の続編である。
レベルが高い。
陳腐な表現であるが、「男のロマン」でしょう。
オビの文句はこうだ・・・
「英、仏、蘭が覇権を争う18世紀インド洋−
イギリス東インド会社の命を帯びマドラスへ派遣された青年は、
伝説の海賊と出会った」
どうですか?
読みたくなったでしょう?
大人の鑑賞に充分たえる海賊小説だ。
世界に類を見ない?

2006年9月23日(土曜)晴れ

「追憶列車」多島斗志之(角川文庫)
多島斗志之さんの短編集。
これもレベルが高い。
内容も多彩。
「マリア観音」主婦にしのびよる謎の女とマリア観音の謎。
「預け物」友人に預けた絵画とその謎の過去。意表をつくエンディング。
「追憶列車」第2次大戦フランスからドイツへ脱出する日本人少女と少年。
「虜囚の寺」明治38年四国松山にあるロシア人捕虜収容所の話。
「お蝶ごろし」清水の次郎長・3人目の妻の話。なぜ彼女は殺されたのか?
以上、5編収録。
どうです、多彩でしょう。
同じ作家が。「症例A」「不思議島」も書いてるんですよ。
(この2作品も良かった)
多島作品にハズレ無し!

2006年9月23日(土曜)晴れ

「海賊モア船長の遍歴」多島斗志之(中公文庫)


これは良かったよ。
レベルが高い。
さすが、多島斗志之さん。
めずらしいジャンルだし。
海洋冒険小説、それも17世紀が背景。
海賊、帆船、東インド会社、薔薇十字団、インド洋、ムガール帝国・・・ワクワクする要素が満載。
これだけの面白さなのに、知名度は低い。
なぜ?
一般受けしない?
重版もしていない様子。
(すでに入手困難なので、今のうちに購入しましょう)

2006年8月5日(土曜)晴れ

「不思議島」多島斗志之(創元推理文庫)

瀬戸内海の小島を舞台にしたミステリー。
限られた空間、狭い社会、短い期間、少ない登場人物を駆使して物語が展開。
過去と現在が交錯。
「ドラマとトリックが融合した傑作」、と解説にある。
うん、そのとおり。
余韻を残すエンディングもよかった。
ただし、私は異なるエンディングも考えた。
ゆり子が里見を**し叔父と父が再び**工作に狂奔する、って結末。
これも因果を感じさせて良くない?
*蛇足*
「症例A」の方が私の趣味。

2006年8月2日(火曜)

「症例A」多島斗志之(角川文庫)
多島氏の作品を読むのは初めて。
しかし、読む前から分かっていた。
「面白いに違いない」、と。
(やはり面白かった)
この手は好み。
500ページを超える長編だけど、退屈しない。
ただ、前半のテンポに比べ、残り1/3あたりから展開が早くなった。
編集者・出版社からクレームがついたのか?
「長すぎる」、と。
それだけが残念。
もっと長くして、最後までゆったり精巧緻密な展開で流れてほしかった。

*参考*
(あらすじを読んだだけで読みたくなるぞ)
http://www.jbook.co.jp/p/p.aspx/2092778/s