【エイリアス】
 『  シドニー・ブリストウ(ジェニファー・ガーナー)は凄腕(しかも超セクシー美女)のスパイ。正しい心をもつ人々のために働き、悪の組織と戦う―彼女はそう信じている。シドニーは大学1年生のときCIAの秘密作戦支部SD−6にリクルートされ、スパイとして活躍してきた。博士号をもつたくましい恋人ダニーからプロポーズされたシドニーは、誰にも明かすつもりのなかった真実を告白しようと決意する。自分が国際銀行で激務をこなす大学院生ではなく、自由な世界のためにいつも命を張っているスパイだと打ち明けたのだ。しかし、シドニーの機密保護違反を知ったSD−6は、婚約者ダニーを残忍な手口で暗殺してしまう。
突然、現実に直面するシドニー。自分が手助けしているSD−6こそ、悪の組織だったのだ。悪事を企むSD−6を壊滅すべく、CIAのニ重スパイになることを決意したシドニーは、さらに衝撃の事実をまのあたりにする。疎遠にしていた父ジャック(ヴィクター・ガーバー)も、CIAからSD−6へ送りこまれたニ重スパイであった。
「血は争えない」とは、まさにこのこと!
   わかりにくいだろうか? これでも、「エイリアス 〜2重スパイの女」の最初のエピソードでしかない。「フェリシティの青春」も製作したJ・J・エイブラムズの新機軸である本作品では、「バフィー 恋する十字架」の女子高生ヒロインと「007」のジェームズ・ボンドを足して2で割ったような主人公が活躍する。両刃の剣ともいうべき緊張感(シドニーはいつまでニ重スパイを続けられるのか?)をはらむうえ、ルネサンス時代の鬼才ランバルディが作り出したという設定の恐るべき兵器マクガフィンも出てくる。ストーリーが進むにつれて観る者を次々と翻弄していく本作品には、思わず息をのむような理屈抜きのアクションもある。CIA連絡員ヴォーン(マイケル・ヴァータン)とシドニーとのあいだに恋が芽生えるのは、いうまでもない。シドニーは、これまで疎遠だった父とも衝突する。スマートで切れ味が鋭く、どこもかしこも謎に満ちた「エイリアス 〜2重スパイの女」は、ゴージャスな一流アクション・スターのガーナーが演じるヒロインを中心に繰り広げられていく。シドニーの特殊な諜報任務と葛藤に満ちた内面とを、どちらもたくみに演じられるガーナーの才能は、アクションよりもさらに光っている。第1シーズンはスリリングな展開のなかで謎が謎を生み、幕を閉じる。ここまでくれば、だれもがエイリアス・ワールドのとりこ。逃げ出したいなどと思うわけがない。
(Mark Englehart, Amazon.com)