【柴田よしきさんのページ】

          【著者略歴】
1959年10月14日東京生
京都にも19年生活
青山学院大学文学部仏文科卒
1995年2月 横溝正史賞受賞
1995年5月25日 受賞作「RIKO -女神(ヴィーナス)の永遠」刊行
「残響」 ★★★☆ 新潮文庫2005年2月(単行本 2001年11月
「窓際の死神(アンクー)」 ★★★★ 双葉社2004年12月
「ワーキングガール・ウォーズ」 ★★★★★ 新潮文庫2007年4月
「小袖日記」 ★★★★★ 文芸春秋2007年4月
「やってられない月曜日」 ★★★★ 新潮社2007年8月
「激流」 ★★★★☆ (徳間書店)
「フォー・ディア・ライフ」 ★★★★☆ (講談社)
「ふたたびの虹」 ★★★★☆ (祥伝社)
「フォー・ユア・プレジャー」 ★★★★☆ (講談社)


2009年6月7日

「ふたたびの虹」柴田よしき(祥伝社)
内容 小料理屋を舞台にしたヒューマン・ミステリ
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★★
点数 92点
気分 後味がよく温かい気分
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 東京・丸の内の片隅にある小料理屋「ばんざい屋」。
女将の作るちょっぴり懐かしい味に誘われて、客たちが夜な夜な集まってくる。
クリスマスの嫌いなOLの悩み、殺された常連客が心ひそかに抱いていた夢、古い指輪に隠された謎と殺意…。
数々の人間模様をからめながら、自らも他人にいえない過去を持つ女将が鮮やかに解決する
恋愛&ヒューマン・ミステリーの傑作。

過去の真実を暴くのがすべてではない。
過去と向き合って、どう現在につなげるか。
作品のコンセプトがすばらしい。
よくできている。

「フォー・ユア・プレジャー」柴田よしき(講談社)
内容 柴田版ハードボイルド探偵物語第2弾
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★☆
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 87点
気分 ハラハラしながら読んだ、それにしても巧い
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 無認可保育園の園長兼私立探偵・花咲慎一郎。
彼に持ち込まれた人探しは、やがてクスリがらみの危険な仕事に発展する。
その上、最愛の女性・理紗が行方不明に…。
次々に襲いかかる無理難題と戦う心優しいハードボイルド探偵に、明日はあるのか!?
読み始めたら止まらない傑作シリーズ第2弾。

前作おもしろかったので、シリーズ2作目を読んでみた。
前作より楽しめた。
バラバラに思えた事件を一気に収斂するワザは見事。
う〜ん、そう来たか、って感じ。
それにしても巧い。
多島斗志之さんは寡作で多彩だけれど、柴田よしきさんは多作で多彩。
すばらしい才能だ。
2009年5月29日

「フォー・ディア・ライフ」柴田よしき(講談社)
内容 柴田版ハードボイルド探偵物語
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★☆
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 83点
気分 ハナちゃん、あまりに貧乏すぎるので、つい応援してしまう
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 新宿二丁目で無認可だが最高にあったかい保育園を営む男・花咲慎一郎、通称ハナちゃん。
慢性的に資金不足な園のため金になるヤバイ仕事も引き受ける探偵業も兼ねている。
ガキを助け、家出娘を探すうちに巻きこまれた事件の真相は、あまりにも切なかった…。
稀代のストーリーテラーが描く極上の探偵物語。
探偵が保育園の園長、って設定がいい。
しかも、新宿二丁目。
ヤクザがわんさか登場する。
ラストのエンディングへの収斂はオタク的すぎるような。
少し、ついて行けなかったので、点数を辛くした。

2009年5月24日(日曜)

「激流」柴田よしき(徳間書店)
内容 過去と現在が交錯する群像劇ミステリ
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★☆
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★★
点数 87点
気分 これほど、タイトルどうりの内容はめずらしい
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 京都。修学旅行でグループ行動をしている七名の東京の中学三年生。
知恩院に向かうバスで、その中の一人の女性徒、小野田冬葉が失踪し、消息を絶った――。
二十年後。35歳となり、それぞれの毎日を懸命に生きるグループのメンバーに、過去の亡霊が甦る。
「おひさしぶりです。わたしを憶えていますか?」突然、送られてきた冬葉からのメール。
運命に導かれて再会した同級生たち。
そして彼らに次々と降りかかる不可解な事件。
冬葉は生きているのか? 
彼女の送るメッセージの意味とは‥‥?渾身のサスペンス・ミステリー!

読み出したら止まらない、疾風怒濤のミステリ。
タイトルどおり「激流」に飲み込まれる。
2段組み、554ページが短く感じられる。
主要な登場人物は男性2人と女性3人の計5人。
それと、行方不明の冬葉。
実際の事件が起こってから20年後、って設定。
この20年の歳月、それぞれ登場人物がどう生きてきたか?
それだけでも、おもしろい。
これにミステリ要素が加わってくる。
う〜ん、激流だ。

PS
点数が辛い、と思うかもしれない。
柴原作品では、「小袖日記」「ワーキングガール・ウォーズ」が私の趣味。
今回は、(微妙に)私の趣味とずれた。
でも、おもしろい作品であるのは確か。

2007年11月25日(日曜)

「残響」柴田よしき(新潮文庫)
面白さ
内容 SF
濃度 普通
点数 78点
気分 ストーリー少し暗め
オススメ △作品全体が暗いタッチ

死者の残留思念と共鳴できる能力をもつヒロイン。
警察はそれを利用しようとするが・・・。
ヒロインが前向きで、少しずつ努力して生活を築こうとする姿勢が共感できる。
でも、柴田作品が初めてなら他の作品からはじめた方がよい。

やってられない月曜日(新潮社) 2007年11月18日(日曜)

「やってられない月曜日」柴田よしき(新潮社)
面白さ
内容 オフィス小説、日常系
濃度 ごく普通に楽しめるでしょう
点数 85点
気分 楽しめる
オススメ

「ワーキングガール・ウォーズ」の姉妹編のような作品。
上記作品をさらに日常風にした感じ。
読後感も良い。
ヒロインに恋愛沙汰が起こらないのが、なお良い。
作品全体の雰囲気に好感が持てる。

→イメージ映像

2007年10月30日(火曜)

「小袖日記」柴田よしき(文藝春秋)
面白さ
内容 平安時代を舞台に源氏物語世界+ミステリー+ユーモア
濃度 普通に楽しめるでしょう
点数 93点
読後 男性への厳しいご意見がこたえる
オススメ ○楽しみながら古文の知識も増える

平安時代へタイムスリップ。
それも紫式部に仕える女房「小袖」の身体に。
身体は平安女性、頭は現代女性。
小袖は紫式部の助手で取材係。
物語のネタを探してあちこち動き回る。

源氏物語は現代の感覚から読むと、少し違和感を感じるところがある。
その辺の調整が物語の中で上手くアレンジされている。
例えば、第一章「夕顔」は生霊に殺される。
でも、実際はあり得ない。
では誰が夕顔を殺したのか?
物語の中で真犯人を確定していく。

また、第二章「末摘花」は(実は)美人だった。
では、なぜブスの代表のような書かれ方をしたのか?
これもみごとなエンディング。
この着地点もすばらしい。
八方上手く収まる。

第三章「葵」が秀逸。
この展開、このエンディングはすごい!
人物造形もみごと。
どうして六条御息所の生霊、ってことになったのか?
みごとな説明。
もう泣けたよ。
柴田よしきさんの筆力はみごと。
ただ者ではない。

PS
世の中には源氏ファンは多い。
ファンと言うよりマニア。
古典の中でも源氏学、って言うのがあるらしい。
源氏だけで一生モンの研究らしい。
大学で卒論にするにも、1回生から準備する、と言う。
その人たちからみたら、この作品は邪道かもしれない。
でも、筆者のような一般読書家からみたら、非常に良くできた作品、と感じる。


2007年10月18日(木曜)晴れ

「ワーキングガール・ウォーズ」柴田よしき(新潮文庫)
面白さ
一般性 オフィス小説、爽快な気分を味わえる
マニア濃度 ごく普通に楽しめるでしょう
点数 91点
オススメ ○おもしろい!

良かった!
小説に関しては、このところ当たり続き。
タイトルが平凡だけど、中味はgood!
オフィスを舞台に「お局様」が大活躍。
最初はイヤなヤツ、って思っていたら、
物語の進行に従い、印象が変化していく。
「いいやつじゃん、頼れるじゃん!」、って。

オフィスの描写も克明。
もうほとんど、平安寿子「もっと、わたしを」か、奥田英朗「ガール」の世界。
でも、それだけじゃないぞ。
これにミステリ要素が加味され、面白さ倍増。
登場人物も脇役に至るまでしっかり書かれている。
正社員、派遣社員、アルバイトの子。
アルバイトの加奈みどりがいい味だしてる。
仕事は熱心じゃないけど、社内探偵役になると(やたら)集中力を発揮する。
上司のセクハラ証拠を集めたり、とか。
最後の章の対決シーンなんて、感涙ものだよ、ホント。
かっこいいよ。

2007年10月15日(月曜)晴れ

「窓際の死神(アンクー)」柴田よしき(双葉社)
面白さ
一般性 通勤読書にどうぞ
マニア濃度 男性、女性ともに楽しめるでしょう
点数 83点
オススメ ○おもしろいよ

柴田作品は初めて。
期待した以上に楽しめた。
おもしろかった。
読んでソンはない。
ストーリーもキャラもしっかりしている。
脇役にも(しっかり)顔があったし。
ところで、このシチュエーションに似た小説がある。
伊坂幸太郎氏の「死に神の精度」(文芸春秋2005年6月)だ。
「窓際の死神(アンクー)」(双葉社2004年12月) なので、柴田作品の方が早い。
面白さは・・・う〜ん、同じくらいか柴田作品の方が上?
知名度、発行部数は伊坂作品に負けたかな?

PS
ところで、柴田よしきさんて男性作家なのだろうか?
名前は男性名のようだけど?
読んでいて、(文章、内容、雰囲気から)女性作家のように感じる。
どうなんだろう?
誰か知ってる?

【参考】
柴田よしき

柴田よしきの日記 - livedoor Blog(ブログ)

窓際の死神(アンクー)

死神の精度
柴田よしき

柴田よしきの日記 - livedoor Blog(ブログ)