【山本幸久さんのページ】

          【著者略歴】
昭和41年5月31日生まれ
東京都八王子市出身
中央大学史学科卒業
内装会社勤務を経て、漫画雑誌プロダクション勤務
現在は世田谷区に居を構える。
「アカコとヒトミと」(後に笑う招き猫に改称)で、
第16回小説すばる新人賞受賞し作家デビューした。
作品はおしなみ高く評価されており、直木賞にも近いといわれている。
byウィキペディア
笑う招き猫 ★★★★☆ 青春ユーモア漫才小説
はなうた日和 ★★★★☆ ユーモア小説短編集
凸凹デイズ ★★★★☆ 青春お仕事小説
幸福ロケット ★★★★☆ 香な子の小学生ライフ
男は敵、女はもっと敵 ★★★★☆ 女と仕事の連作短編
美晴さんランナウェイ ★★★★☆ ユーモア家族小説
渋谷に里帰り ★★★★☆ ユーモア・オフィス小説
カイシャデイズ ★★★★☆ ユーモア・オフィス小説
ある日アヒルバス ★★★★☆ バスガイド・ユーモア小説 
シングルベル ★★★★☆ コメディタッチの恋愛小説
2009年6月14日

「シングルベル」山本幸久(朝日新聞出版社)
内容 婚活$「代に送るコメディタッチの恋愛小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★★
点数 91点
気分 山本幸久作品ハズレなし。
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 我が子の相手探しに結婚セミナーに奔走する親たち、
その切実な願いを軽やかにひっくり返す息子&娘たち…。
さらには事態を混乱させる小悪魔少女や謎のストーカーも絡んで事態は思わぬ方向へ―。

山本幸久作品最新作。
全作品を読んでいる。
(と、言っても、この作品を入れても10冊だけど)
今のところハズレなし。
すべて、一定のグレード以上。
そこが安心して楽しめるし、躊躇せず購入に踏み切れる。
他の作家はこうは行かない。
真保裕一さん、桐野夏生さんも当たり外れがあるし、奥田英朗さん、宮部みゆきさんでもある。
全作品が面白いのは荻原規子さんと山本幸久さんくらいか。
(私の趣味では荻原規子さん圧勝だけど、寡作すぎる)
あるいは、他の作家が多作すぎるのかも。



2009年5月10日
美晴さんランナウェイ」山本幸久(集英社)

内容 ユーモア家族小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 88点
気分 安心して楽しめる
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 叔母さんは、トラブルとともにやってくる。27歳未婚。
定職ナシ。
男を見る目ナシ。
いつも厄介を引き起こしては投げ出して―
『笑う招き猫』の山本幸久が描く“居候美女”の痛快爽快・逃げっぱなし人生。

「渋谷に里帰り」山本幸久(日本放送出版協会)
内容 ユーモア青春オフィス小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 86点
気分 軽く書かれているのに、おもしろい。
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 2006年4月から1年間、NHK出版ウェブサイトで連載したものの単行本化。
注目の若手作家が渋谷を舞台に描く青春小説。
上記・山本幸久さんの作品を2冊一気に読んだ。
やはり面白い。
文章も読みやすい。
この2冊読んだことにより、山本幸久作品(出版されている限り)すべて読んだことになる。
もし、初めて読むなら下記の作品を薦める。
長編なら・・・
「凸凹デイズ」
「カイシャデイズ」
「ある日アヒルバス」
短編(実際は連作長編)なら・・・
「男は敵、女はもっと敵」
「はなうた日和」
いずれもハズレなし。
【資料】
山本幸久さんのページ



文庫本表紙↑

単行本表紙↑
2009年5月3日

「男は敵、女はもっと敵」山本幸久(集英社文庫)
内容 女と仕事の連作短編
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★★
点数 94点
気分 「ガール」(奥田英朗)に匹敵する内容
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 映画好きが高じてフリーの宣伝マンをする藍子36歳。
仕事は順調だが、W不倫の果てにフッた男が仕事場に現れ復縁をせまり…(『敵の女』)。
22歳の真紀はデザイン会社で働く。
今は仕事よりも来月入籍するバツイチのカレが大事。
だが、その元妻と仕事をすることになり!?(『Aクラスの女』)。
など、恋と仕事にまっすぐ生きる女たちをリアルに描いた連作短編集。
文庫のため新作書き下ろしを特別収録。
かつて「ガール」(奥田英朗)を読んだとき感嘆した。
これほど見事に働く女性の本音が描かれたことはない、と。
しかも男性作家だし。(表紙をの著者名を見なおした、ホントに男性作家なのか、と)
これ以上の作品は出ないだろう、と思った。
しかし、それは誤り。
再び、男性作家により、それは成し遂げられた。
「男は敵、女はもっと敵」「ガール」に匹敵する。
奥田英朗さんは、登場人物を心理的に追い詰めて沸点に達する瞬間を描くのが巧い。
山本幸久さんは、そこまで緊張の糸を引っ張らない。
どちらかと言うとゆるい感じ。
それでいて、人生の複雑な味わいと、深いユーモアを感じさせる。
例えば、不倫の果てに、離婚し家族を失った男が、元妻のソフトボールチームに助っ人で参加するシーン。
ポジションはキャッチャー、妻はピッチャー。
そしてつぶやく・・・
「おれは家族を失ってからファミリーレストランで食事するようになり、離婚して元女房の女房役になった」
ストーリーと登場人物が複雑に交錯するので、再読しないと100%理解出来ない。
連作短編で、毎回語り手が変わる。
この型式は、(私の知っている限りでは)「もっと、わたしを 」(平安寿子)あたりが最初?(違っていたら教えて)
その後、他の作家も真似しはじめたような。
これにより、物語全体が多面的に語られ奥が深まる。
(「平成大家族」(中島京子)もこの型式の成功例)
(「駅から5分」(くらもちふさこ)は進化形)
さて、今回も著者のサービス精神により、文庫化にあたり書き下ろし短編が追加されている。
さらに、「笑う招き猫」とのリンクもある。
ホント、嬉しい限り。

2009年4月26日

「凸凹デイズ」山本幸久(集英社文庫)
内容 青春お仕事小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★★
点数 92点
気分 山本作品は楽しめる
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 エロ雑誌のレイアウトもスーパーのチラシもなんでもござれの
弱小デザイン事務所・凹組クロニクル。
キュートでコミカルなデザイナー青春小説。

山本幸久さんは、お仕事小説と青春小説のドッキングがうまい。
「ある日、アヒルバス」「カイシャデイズ」「笑う招き猫」、いずれも秀作、すばらしい。
作家に必要な要素のひとつがサービス精神。
「はなうた日和」でも文庫化にあたり、書き下ろし短編が追加されていた。
今回も短編が追加されている。
また、「アヒルバス」との軽いリンクもあったりして。
こういうのがファンとして嬉しい。


2009年3月22日

「笑う招き猫」山本幸久(集英社文庫)
内容 青春ユーモア漫才小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★★
点数 91点
気分 ふたりのキャラが最高!
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 男と並んで愛誓うより、女と並んで笑いを取る、それが二人のしあわせなのだ!
駆け出しの漫才コンビ、『アカコとヒトミ』。超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けずに大失敗。
おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り倒して大目玉。
今はぜんぜんさえないけれど、いつかはきっと大舞台。
体に浴びます大爆笑―。夢と笑いとパワーあふれる傑作青春小説。
第16回小説すばる新人賞受賞作。

とにかく、おもしろい。
ふたりのキャラが楽しい。
特に、ストーリーの中で、この2人、特にアカコが即興で歌を歌う。
それが愉快、愉快!
・・・そして泣かせる。
読み終わった後は、温かくなっている。

2009年3月22日

「幸福ロケット」山本幸久(ポプラ社)
内容 香な子の小学生ライフ
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 86点
気分 山本幸久さんが児童文学を書くとこうなる
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 電車のなかで、ホームの白い光のしたで、言葉にならない言葉がこぼれてく。
時間はもう止まらない。
胸にこみあげてくるものを感じながら、あたし(山田香な子、小五♀)は走り続ける。
確かめなくちゃ、聞かなくちゃ。
誰も知るはずのない「未来の笑顔」をコーモリ(小森裕樹、小五♂)がくれたから・・・。
東京、下町で動きだす、みずみずしい幸福のものがたり

作品の中で、いくつもSF小説が紹介される。
登場人物(小学生)に「ウルフガイ」全巻読ませている・・・いいんだろうか?

2009年3月16日

「はなうた日和」山本幸久(集英社文庫)
内容 ユーモア小説短編集
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★★
点数 93点
気分 この切り取り、この距離感、ゆるい感じがたまりません
オススメ ★★★★☆
ネット上の紹介 定年間近の平凡な会社員・虹脇は、突然部下の美人OLから飲みに誘われる。
手を握られながら「副社長を殴ってほしい」と頼まれて―。(「ハッピー・バースディ」)。
売れないアイドルのミドリは、今日もオタク相手に撮影会。
しかしその帰り、子連れの元カレと再会し…(「五歳と十ヵ月」)。
さえない日常の中にある、小さな幸せときらめきを描いた短編集。
文庫化に際し、書き下ろし短編を特別追加。
どの短編もすばらしい。(特に「うぐいす」が好き)
日常の切り取り方がみごと。
それぞれの短編に、ゆるいリンクがあるのも楽しい。
キャラでは、「千倉さん」が好み。

2009年1月31日

「ある日、アヒルバス」山本幸久

内容 バスガイド・ユーモア小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 92点
気分 好みの文章
オススメ ★★★★☆

山本幸久さんの最新作。
バスガイド物語。
手抜きをして、ネット上の紹介文を下記に転載する。

東京生まれの東京育ち(ただし八王子)の高松秀子(デコ)はアヒルバスに入社して五年の観光バスガイド。
一筋縄ではいかないわがままなツアー客たちに振り回され、新人研修の指導員になったものの教育は遅々として進まない。
そんな中、同期の中森亜紀にアヒルバスの「革命」を持ちかけられるが…
若きバスガイドの奮闘と成長を、温かな目線と軽妙なユーモアで描くお仕事&青春小説の傑作。


以上、転載終了。
いかがでしょうか?
おもしろそうでしょう?
実際、おもしろかったし。
山本幸久さんの文章はあっさりしていて、くどくないのがいい。


2009年1月12日

2007年1月号「ダ・ヴィンチ」P246『仕事に前向きになれる、サラリーマン・OL物語は?』、ってのがある。
小説で紹介されているのは・・・
「神様から一言」荻原浩
「ガール」奥田英朗
「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「カイシャデイズ」山本幸久
「ワーキングガール・ウォーズ」柴田よしき

・・・以上、いかがでしょうか?
なかなか良いところを紹介している。
(これ以外にも、近藤史恵さん、平安寿子さんとかどう?)
さて、気になったのは山本幸久さんと、荻原浩さん。
今まで読んだことがないので読みたくなった。

「カイシャデイズ」山本幸久

内容 ユーモア・オフィス小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★★
キャラクター ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
点数 91点
気分 けっこう好み
オススメ ★★★★☆


「神様から一言」荻原浩
内容 ユーモア・オフィス小説
一般的面白さ ★★★★☆
個人的趣味 ★★★★☆
キャラクター ★★★★☆
ストーリー ★★★★★
点数 88点
気分 よく出来ている
オススメ ★★★★☆

上記2作は甲乙つけがたく面白かった。
でも、どちらかというと山本幸久さんの方が好み。
ストーリーとしては「神様から一言」の方が起承転結があり盛り上がる。
どちらもオススメ、読めば元気になる。
もし、他の作品・・・
「ガール」奥田英朗
「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「ワーキングガール・ウォーズ」柴田よしき

以上、3作品を読んでいないなら、これらもオススメ。
(ただし、金城一紀さんを読むなら、レヴォリューションNo.3 から読んだ方がよい)
特に「ガール」は女性心理のツボを押さえている、男性作家とは思えないくらい。