FREE CLIMBING IMFORMATION
(7)事故に注意しよう
「事故はよく有るのですか?」
「時たまあるな」
「見ましたか?」
「何回か目の前で見たな」
「防げませんか?」
「不可抗力もあるけど、ちょっとした注意で防ぐこのとできる事故もあるな」
「注意してたら、事故は無くなりますか?」
「かなり低くなるけど」
「ゼロになりますか?」
「もともと、危険な行為やからな」
「どうしたらいいですか?」
「高いとこに登らんこと、それと岩に近づかない」
「・・・(?)」

【頭上注意】 人工壁でも岩場でも、『頭上注意』である。
上から人が降ってくる可能性がある。
自分がとびおりたり、ファールするときは逆に下に人がいないか注意したい。
(でも、登っている時は夢中・・・ホントは下に入る人がよくない)
基本は『登っている人の下には行かない』、である。
また、飛び降りた時、マットの隙間に足が入ったり、捻ったりして、捻挫や骨折の可能性がある。
人工壁でも、岩場でも『落ちるのもテクニック』と心に銘記したい。。
上級者は落ちるのもうまい。
ただし、ビレイヤーのテクニックも必要。
クライマーとビレイやーの連携プレーで安全フォール。
【落石】 これも、『頭上注意』である。自然落石もあるし、サルが落石させることもある。
注意したいのは、人為的な落石である。
万一自分や、周りの人が落石したら、「ラク」と、大声で叫ぶこと。
斜面で下降するときも、石が転げていくので危ない。
上記と同様に注意したい。
【ロープを結ぶ】
ハーネス(ゼルプスト)にロープ(ザイル)を結ぶときは特に注意したい。
結び忘れが有るからである。これはベテランの方が犯す過ちである。
リン・ヒルでさえ、これを行ってしまい、約25mのグランドフォールをした。
注意しても、注意しすぎることはない。
これは、クライマーだけでなく、ビレイヤーも注意して確認してあげるとよい。
さらに、お互いに確認しあえば、より安全である。
即ち、ビレイヤーはクライマーの結び目を確認し、クライマーはビレイヤーのビレイを確認する。
これを習慣にすると、より安全は向上する。

【ヌンチャク】 ヌンチャクも時々チェック。
シュリンゲ部分が切れてグランドフォールするのを、目の前で見た。
また、ボルトにカラビナをセットする部分も何度もフォールしていると痛んでくる。
へこんでくるのが怖い。ケミカルアンカーだとすこし安心。
【ロープ】
ロープの切断事故はあまり聞かないが、最近は10o以下のロープ使用者も増えてきたので、より注意したい。
テンションを何度もかけたり、フォールを繰り返していると、末端から2〜3mのところがぼろぼろになってくる。
60mの長いロープを購入して、痛んだところを切って行くとよいだろう。
また、短いロープを使用すると、ロアーダウンの時に『すっぽ抜け』もある。そのルートの最低2倍のロープを使おう。
ロングルートの時は特に注意したい。古いロープだと、切断して短くなっている可能性があるからである。
安全対策として、あらかじめ末端を結んでおくのも有効である。
ロアーダウンの際、ビレイヤーは充分注意する必要がある。
ちなみに、ロープを抜いて落とす時は、周りに聞こえるように『ロープ・ダウン』等、言う癖をつけよう。
(人口壁でも自然壁でも)

【リードとフォール】

【リードする者の注意】
リードすれば必ずフォールの危険も併発する。
特に1ピン目をセットするまでは要注意。絶対に落ちないように。
また、【頭上注意】に書いたように『落ちるのもテクニック』である。
リードするものは、ロープに足を絡ませないでフォールすること。
また、ボルトルートでもチェックするくらいの気持ちも必要。ボルトが抜けるときがあるからである。
終了点は特に注意。懸垂の際がもっとも危険である。支点を確認すること。
【ビレイヤーの注意】
もし落ちても、最低限ビレイヤーは自己の安全を確保しておく、リードのフォールに引きずり込まれないこと。
ビレイヤーのテクニックとしては、基本は1ピン目の真下でビレイする。フォールしても体が持ち上がるだけだから。
ただ、リードしているクライマーがどういう状態で登っているか見ることが出来ないので、ある程度岩から離れてしまう。
(臨機応変に対応しよう)
リードするクライマーが、今フォールすれば自分がどちらに引っ張られるか、よく考えてビレイすること。
ハングや前傾でのビレイでは、技術がいる。
リードがフォールした時、『わざと引っ張られ』て、クライマーが壁に激突する危機を回避する必要があるから。
つまり、『急にロープを張らない』ことである。場合により、『わざと跳びあがったり』してもよい。
(これも臨機応変に対応しよう)
フォールした瞬間のタイミングが重要である。瞬間芸である。
リードする者とビレイヤーの体重差がある場合は、要注意。
以上、文章にするとややこしいかもしれないが、自然にうまくなる。
『場数をこなして体で覚えていく』のである。
でも、最初に理屈を知っていた方が覚えは早いだろう。
【第三者の注意】
リードしている者の下で、休憩しないこと。
(こんな、当り前のことも書かねばならんのか?)
でも、人口壁だと、有りうる。
へーきで、立話とかしているし!

【ビレイの注意】 ★人工壁に行くと、他の方のビレイが気になる。
(1)ビレイヤーはクライマーから目を離さないこと。
クライマーが登っていて、何気なく下を見たとき、ビレイヤーと目が合うだけで安心する。
(「しっかり見てくれているんだな」、と)
もしその時、他の人と雑談でもされていたら、意欲激減でしょう。
(2)それと、壁から離れすぎ
(じゃまになるし、危ない)
ビレイの基本は、1本目のピンの真下に位置すること。
(あくまでも基本)
でも、クライマーが3ピン目くらいまでにフォールすると、ビレイヤーを直撃する。
(そこは、臨機応変)
立ち位置を少しずらしたらヨイ。
(3)クライマーがロープをたぐってクリップする時も慌てないこと。
詰まらせるのも良くないが、慌てすぎるとかえって詰まる。
必ずクライマーを見ながら、ロープを繰り出すこと。
慌てないためには、予想すると良い。
「あのホールド、あの位置がクリップポイントかな」、と。
「この体勢はクリップするかな」、と。
年季の入ったパートナーだと、フォールも(ある程度)予想できる。
*【追加覚書】
岩場の場合だと、ビレイヤーからクライマーが見えない場合もある。
ロープの流れ具合を見て判断し、繰り出す。
見えなくても、クライマーが登っている方向とロープは見ておくこと。
耳も澄ましておくこと。
【声を出し合う】
出来るかぎり、声を出してチェックし合う習慣もつける。
*例えば、終了点に着いたら、クライマーは、「終了点に着きました、テンションお願いします」
ビレイヤー:「はい、テンションします」
クライマー:「おろして下さい」
ビレイヤー:「はい、降ろします」
と、言ったぐあいである。
*途中でフォールしてセルフを取ってレストする場合、
「セルフとりました」
「はい、OK」
*そして、セルフをはずして、テンション後再び登りだす場合、
クライマー:「テンションお願いします」
ビレイヤー:「はい、テンションOKです」
クライマー:「登ります、緩めてください」
ビレイヤー:「はい、緩めます」
・・・と言ったぐあいである。
レストしていたクライマーが、急に登りだしてたりすると、ビレイヤーは対処できない。
ビレイヤーにきちんと声をかけてから、登りだすこと。
『イク時、イクって言ってね〜』ってヤツである。


【グリグリの注意点】
グリグリを使用している人へ。
最近、10o以下のロープを使用している人が増えた。
(私の所持している現役ロープも、3本のうち2本が9.9と9.8の60mである)
グリグリは『10o以下使用禁止』、となってる事をご存知でしょうか?
細すぎて、流れすぎるからである。
ATCでも、10o以下のロープの時は、同様に注意しよう。
やはり、流れすぎるようである。
切れ込みの入ったタイプのATCなら大丈夫。
*グリグリでの事故が何例か報告されている。ロープとの相性があるようだ。
 →グリグリでの事故について
【ニアミス】
人工壁だと、ルートが密集するが、(他のパーティと)ニアミスも起こりうる。
同じ壁を登る時は、『お互い、どのルートを登るのか確認し合う』こと。
ホールドやヌンチャクが重ならないか、注意しよう。
重ならなくても、振られてフォールした場合、横のルートを登っているクライマーにぶつかる可能性もある。
ビレイヤーもリードしている近くのクライマーにも注意しよう。
危ないと思ったら、すぐ大声で知らせること。

【おまけ情報】
『こんな時どうする?』

こんな場合、皆さんはどうしますか?
ルートが2ピッチ目にあり、ロアーダウンで地面まで一気に降りる事ができない。
そこで、1ピッチ目の終了点まで降りてセルフビレイを取り、ロープを抜く。(ここまではOK)
★ここからが問題★
『その時末端を結んだままロープを引っ張った為、2ピッチ目終了点で引っかかった!』
★処理方法★
(1)1ピッチ目終了点でセルフを取り、ビレイヤーにビレイ解除してもらう。
(2)もう一方のロープを垂らし、ビレイヤーに8カンを上げてもらう。
(3)中間部分で8の字結びを作り1ピッチ目終了点にセットし、シングルのフィックス状態にする。
(4)上げてもらった8カンで懸垂する。
(5)別のロープを使用して登りなおして2ピッチ目終了点まで行き、ロープを回収。
★処理方法が解らない時は、他のパーティに助けてもらおう。
他のパーティが居なかったり、別のロープが無い場合は後日処理すること。
中途半端な知識で処理すると危険。
まちがっても、引っかかったロープでゴボウしないように。
★どうして、こんな事を書くかと言うと、
先日(他のパーティが)柏木のスーパーマリノラインで上記状況となり、
(私が)ロープ回収をしたから。
こんな場合は、ATCだけでなく、予備の8カンも必要。
以上、こんな事は雑誌や本にも載ってないように思う。
実践で学ぶしかない。


最後に、『クライミングは危険な行為』であることを、ご自覚下さい。
(【注釈】仕事を辞めて海外に行き、ホームレスになるからではない)
それでは皆さん、安全に注意して楽しいクライミングを。

  【注意】このページを読んで、万一事故を起こされても責任は負いかねます。
      自分の身は、自分で守るものですヨ。