「生活と覚書(文化・読書編)」   
【ぐーたら文化生活】

2003年12月16日(火曜)晴れ
「オリガ・モリソヴナの反語法」米原万里(集英社)
著者自身59年〜64年をプラハ・ソビエト学校に通っていた。
オリガは小学校時代の先生がモデル、らしい。
スターリン→フルシチョフ→ゴルバチョフ・・・変遷する時代の流れを背景に、
翻弄されながらも強烈な個性を失わずに生き延びた女性がいた。
プラハの舞踏教師オリガである。

どうして彼女は『アルジェリア』の言葉に異常におびえるのか?
30数十年の時を経て、著者がその謎を解明していく。
驚愕の事実、想像を絶する過酷な運命。
スターリンの『粛清』がいかなるものだったのか?

フィクションの形式をとりながら、「かぎりなく事実に近い」、と印象をもつ。
あの傑作『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』の感動が再び蘇える。
膨大な資料と綿密な取材に圧倒される。
ヘタなミステリーを読むより、よっぱど面白い。
著者の人柄、温かさを感じながら読んだ。
こんなすごい作品がどうして世間で話題にならないのか?
この内容の重さと同じだけ、正当に評価されるべきである。


2003年12月7日(日曜)晴れ
日曜日の晴れなのに(用事のため)登りに行かなかった。
おかげで、たまっている本の一部を読むことが出来た。
「人類最古の哲学」中沢新一(講談社選書メチエ)
(う〜ん)学術書でこんなに面白いのは久しぶり。
すごい本である。
神話を哲学として現在に甦らせている。
具体的に「シンデレラ」を取り上げ詳細な考察・検証。
ペロー版とグリム版の違いはもちろん、世界各地に伝わる「シンデレラ」をとりあげ、
単純な童話と思われていたものが、古代神話につながり、
さらに「闇の世界」へと通じる、と検証していく。
ぞくぞくする。
(ちなみにこの本を読むきっかけになったのは、荻原規子さんのHPである)

「ユカリューシャ」斉藤友佳里(世界文化社)
バレリーナ・斉藤友佳里さんの自伝である。
6歳からバレエを習い、高校生の時からロシアに短期留学を繰り返す。
20代は日本はもちろん世界各地で公演を行う。
しかし、30歳で舞台中に事故。
膝の靭帯断裂で再起不能と言われるが・・・。
一気に読んだ。
昨年に購入したが読む機会がなく(やっと)読めた。
予想通り読み応え充分であった。


2003年11月21日(金曜)雨
上野水香さんがTV「たけしの誰でもピカソ」に出演された。
バランス・テクニック・柔軟性と揃っている。
すばらしい。
姿勢が(当たり前だけど)すごくいい。
もう、普通に立っているだけで絵になる。
12月中旬に本とDVDがリリースされる。
楽しみである。

話は変わって映画『イノセンス』が来年春に公開されるらしい。
押井守監督である。
予告映像を観た。
「これは観ずにはすまされん」、って感じ、圧倒される。
主題歌を(ジャズヴォーカリスト)伊藤君子さんが歌っている、歌声がすばらしい。
押井監督の映像に(異常に)マッチしている。
予告を観ているだけなのに、鳥肌もんである。


2003年11月19日(水曜)雨
上野水香さんが11月21(金)22:00〜「たけしの誰でもピカソ」に出演されるらしい。
TVで観られる滅多にない機会である。
ビデオの用意をして要チェック。
(興味のない人には関係ないか?)


2003年11月18日(火曜)晴れ
本日DVD『風の谷のナウシカ』発売。
さっそく購入する。
かつて、劇場で公開された時を思い出した(1984)。
確か六甲・不動に登りに行った帰りに、梅田で観た記憶がある。
(宮崎監督も)当時は(今ほど)知名度も公の認知もなかった。
しかし、(一部)アニメファンの間では熱い支持が(すでに)あった。
この作品の後、『ラピュタ』('86)、『トトロ』('88)、『魔女の宅急便』('89)と続くのである。


2003年11月14日(金曜)晴れ

『bk1』が森絵都さんの特集をしている。
チェックしてみよう。

【森絵都さんの特集】


2003年11月13日(木曜)
DVD『チャーリーズエンジェル・フルスロットル』購入。
火曜日にリリースされたのだが、忙しくて買いに行けなかった。
本日やっと購入。
家に帰って早速観てみた。
内容は、盛りだくさんである。
ちょっと詰め込みすぎ。
「もちょっと、シンプルなほうがいいんじゃない?」、って感じ。

【PS】
バックに70年代のヒットソングがガンガン流れる。
それだけでも楽しくなってくる。


2003年11月9日(日曜)雨
『ZOO』(乙一)集英社読了
なんとも不思議な短編集である。
単に「不思議」と表現するには「毒」がありすぎるし、屈折しすぎている。
いったいこの作者の頭の中はどうなっているのか?
意表をつく内容、予想のつかない展開、意外なエンディング。
ジャンル別け不可能。
しかし、面白い。
「まいりました!」、って感じ。


2003年11月6日(水曜)晴れ
クライマーの藤井さんから、DVDを2枚お借りした。
『La Taraviata』
『Turandot』
(タイトルでお分かりのように)オペラのDVDである。
藤井さんは、たいへんオペラ通である。
私が「オペラなんて観たことがない」と言うと、
(きのどくに思ったのか)上記2枚を貸して下さったのである。
オペラと言うと、どうも窮屈な印象がある。
日本人にとって『能』が、白人にとって『オペラ』なのか?
・・・どうも、そうではないようだ。
もっとポピュラーな・・・親しみやすい『娯楽』って感じか?
演劇+音楽+声楽=オペラ
演劇+音楽+舞踊=バレエ
どちらも、演劇要素にプラスされた『感覚』に訴える分、言葉が分からなくても楽しめる。
また、機会があれば追求してみたい。


2003年10月25日(土曜)晴れ
「バガボンド」井上雄彦(1)〜(17)
上記作品を一気に読んだ。(まだ連載中なので、17巻までだけど)
原作は吉川英治氏である。
原作はかつて、学生時代に2回読んだことがある。
(何年前じゃ!)
井上雄彦さんは(あえて)タイトルを変更しただけあって、かなり自由に描いている様だ。
(うれしい。原作どおりだと意味が無いし、私もそんなの読む気もしない)
さすがに、評判どおりの作品である。
絵がうますぎる!
登場人物が多いが、きちんと描き分けているし。
オススメ。good。
【PS,1】
宇多田ヒカルさんも、この作品が好き、と聞いたことがある。
【PS,2】
(比較するのもなんですが)同作家の「リアル」の方が私の趣味である。


2003年10月18日(土曜)
DVD「マトリックス・リローデッド」発売。
さっそく購入する。
こんなに早く発売されるとは、ありがたい。
実は映画館で上映された時に、観ていないのである。
(『T3』を換わりに観た)
同じSFアクション映画でも、『T3』とはコンセプトがまったく違う。
(相撲とK1くらいの違いである)
アクションシーンがすごい。
撮影中に「けが人続出」、と聞いたが、さもありなむ。
続編が楽しみである。

【PS】
これから発売されるDVDで楽しみなもの。
11/11 『チャーリーズエンジェルフルスロットル』
11/18 『風の谷のナウシカ』
12/17 『ローマの休日』(50周年記念デジタルニューマスター版)


2003年10月17日(金曜)晴れ
「リアル」(3)発売。
ついに、第三巻が発売された。
これだけの重いテーマを、一般漫画誌で取り扱って、
なおかつ、(退屈させるどころか)圧倒的なベクトルで読者を牽引する力量は並みではない。
すごい、としか言いようが無い。
脇役のキャラのユニークさも秀逸。
特に病院シーンのナースが最高!(しぶい)
キャラの奥が深い。
描線もすばらしい。
プロである。


2003年10月7日(火曜)晴れ
「先生がいっぱい(1)」(安田弘之)小学館発売
朝日新聞のコラムで推薦されていたので、さっそく購入した。
たしかに、おもしろい。
学園マンガの1種であるが、生徒がメインではない。
学校が舞台ではあるが、教室が舞台ではない。
これは、職員室を舞台にした、職員室ドラマである。
もちろん、先生がメインキャラ。
また、その先生たちがヘンな奴ばかり。
キャラクターが濃い。
いちおう、若手国語教師(通称)トカチンが主人公だが、脇役すべて造形が深い。
単なる紋切り型で処理していない。
薄っぺらいキャラかと思われたロリータファッションの山本先生(女性)も奥が深い。
(山本先生はいつもロリータファッションなので、ロリ本と呼ばれている)
第8話を紹介しよう。
通勤電車で中年教師・阿部先生が痴漢に間違えられる。
たまたま、同じ車両にいたロリ本が助けるシーンの会話。
「やぁってないって言ってるじゃない」とロリ本。
「仮にこいつがやったにしてもいーじゃん減るもんじゃなし」と、さらにロリ本。
「へ、へるわよ、女心の何かが確実に」と、被害にあったと言張る女性。
「減ったら足しときゃいいのよ」
「ウナギ屋のタレみたいに言わないでよ」
「だいたいガードが甘いっつーのよ。髪の毛生乾きでプンプンにおうわ、
ブラヒモ透けまくってるわ、アピールかっつーの!!」
と、痴漢にあったと主張する女性をこてんぱん。
さらに職員室の会話。
(ねえねえほんとは〜)と、スナイパー・庭山先生(女性)が(こっそり)助けた真意を問う。
(安っぽい女がギャーギャー騒ぐのがウゼー思いました)と、ロリ本。
以上このシーンだけを取り上げると、上野千鶴子先生に「ケンカ売っとんのか」と言われそうだが、
センセー同士の心理戦が奥の深いギャグになっている。
これが一番の楽しみでしょう。

【PS】
タイトルが映画「太陽がいっぱい」に似ていると言われるが、
私は、R・シェクリィ「無限がいっぱい」を思い出した。


2003年9月30日(火曜)晴れ
「サマータイム」(佐藤多佳子)が新潮文庫より出版された。
佐藤多佳子さんのデビュー作である。
長い間、絶版となっていて図書館でしか読むことが出来なかった作品。
内容は(言うまでもなく)すばらしい。
しかも、解説は森絵都さんである!
(あの森絵都さんが、褒めちぎっているし!)
これは、即買うしかないでしょう。
新潮文庫をみなおした。
よく掘り出してきて出版したものだ。
えらい!


2003年9月18日(木曜)晴れ
「東京物語」奥田英朗(集英社)読了
自伝的連作長編。
「最悪」「マドンナ」も面白かったが、これも佳作である。
共通して言えるのは人物造形がうまい、ってこと。
1978年のキャンディーズ解散から89年のベルリンの壁崩壊の年まで、
当時の世相とオーバーラップさせながら、青春を描いている。
殊に、1979年大学時代を描いた、『レモン』の章が良かった。


2003年9月17日(水曜)晴れ
DVD『メラニーは行く!』発売
リース・ウィザースプーン主演の最新映画がDVDで発売された。
さっそく仕事帰りに購入。
前作『キューティ・ブロンド』も面白かったが、この作品もgood!
最近、良質のラブ・コメが少ないが、リース・ウィザースプーン主演作品は
どれも高レベルである。見て損はない。


★2003年9月15日晴れ
「リアル」(1)(2)井上雄彦(集英社)
井上雄彦氏と言えば「バガボンド」が有名であるが、この作品も評判が高い。
だいぶ前に購入して読むヒマがなかったのを、今回の連休で読んだ。
レベルが高い。
評判どおり。
(3)は出版されているのだろうか?
現在も(不定期に、スローペースで)連載中のようだけど。
主人公の野宮のキャラクターがいい。(野放図で最高)
もう一人の重要人物・戸川の繊細クール・キャラとの対比もいい。
オススメ。

★2003年9月15日晴れ
「キッドナップ・ツアー」角田光代(新潮文庫)
予想以上に面白かった。
児童文学には(時々)感性だけで描かれたものがあり、
「あまり私の趣味じゃないぞ」ってのがあるから。
今回は当たり!(よかった)
小学5年生の夏休み第一日目、『私』は誘拐される。
犯人は『私』のおとうさん。
この『おとうさん』がだらしない、なさけない、金も無い。
この設定がいい。
なさけなさが(『私』の目を通して)よく描かれている。
主人公の『私』にも好感が持てる。
後味もいい。
機会があれば、この作者の作品をもう少し読んでみたい。

★2003年9月14日晴れ
「BATTLE ROYALEU」杉江松恋(太田出版)
『パートT』が面白かったので、『パートU』も読んでみたが・・・。
実は、(予想以上に)面白かった!
作品は『パートT』の構成を踏襲しているが、筆力がある。
もし、つまらなかった途中でやめようと思っていたが、
(ところが、どっこい)たいしたベクトルである。
最後のページまで(一気に)私を引張ってくれた。
それだけでも、「いかに面白かったか解る」、ってもんでしょう。
映画も現在上映中である。
パートTの映画は観たが、なかなかよかった。
登場する女性が全て『黒髪』であった・・・この『美意識』がいい!
今回の『パートU』は、どうでしょうか?

★2003年9月13日晴れ
「夏と花火と私の死体」乙一(集英社文庫)
最近人気の乙一氏のデビュー作である。
おもしろい!
語りがユニーク。
一人称であるが、『私』はいきなり死んでしまう。
死体の『私』が一人称で、『語る』のであるが・・・いい感じ。
作品に合っていて、違和感がない。
妙に収まりがいい。
不思議な味わいである。
どきどきしながら読んだ。
当時作者は16歳だったらしい。
もしかして、天才か?鬼才か?
筆力がある。構成力も抜群。

★2003年9月13日晴れ
「ぼくんち」西原理恵子(小学館)
あらゆるジャンルは出尽くした、と思っていたが、こんな作品ははじめて。
ムリに似た作品を挙げるなら、
業田良家さんの「自虐の詩」に近いような?遠いような?
(やっぱり、違うか?)
貧乏で悲惨な状況を描いているが、突き放して距離をとっているので、
むしろコミカルな印象さえある。(絵のタッチのせいもあるか?)
味わいもあり、深みさえある作品である。
(有名な作品だから、わざわざ私が説明する必要も無いか?)
私が読むのが遅すぎた、のである。
【情報】
この作品は、観月ありさ主演で映画化されるらしい!(興味津々)

2003年8月10日(日曜)晴れ
ジブリcollectionDVD「海がきこえる」発売中
約10年前のアニメ作品である。
DVDになったので、さっそく購入した。
ひさしぶりに観なおしたが、おもしろい。
しかもレベルも高い。すばらしい!
しかし、昔観た時と(微妙に)印象が違う。
かつては、杜崎(もりさき)拓と里伽子のラブストーリーとして観た。
(あらかじめ、原作もそのように読んでいたし)
今回観なおしてみると、杜崎と松野の友情物語として(も)観てしまった。
(あえて)作品にクレームをつけるなら、里伽子のキャラクターデザインが、やわらかすぎる。
きついめに描かないと、不自然。
アニメとは関係ないけど、原作では津村知沙と言う魅力的なキャラが登場するが、
アニメでは省略されている・・・大変残念である。
さらに関係ないけど、里伽子より、里伽子に対立する(ショートヘアの)明子の方が(私には)好ましく感じられる。

2003年8月9日(土曜)雨のち曇り
「天水」(上・下)花輪和一(講談社)読了
これはすごい作品である!
今まで見過ごしていたのは、痛恨の極み!
こんなすごい作品を見逃すなんて私のアンテナも鈍ってきたか?
平安時代末期(たぶん)を舞台にした、ファンタジーがカテゴリーと思われるが、ジャンル別けは無意味。
10歳くらいの童女がもののけの河童と共に(母を訪ねる)旅に出て不思議を体験する、これがあらすじ。
圧倒される。イマジネーションが並じゃない。
花輪和一さんの作品をネット上で探したが、ほとんど絶版状態。
やはり世間のレベルは低いのか?
他の作家のつまらん作品が売れて、こんな優れた作家の作品群が手に入りにくいなんて。
「ミミの怪談」(伊藤潤二)や「栞と紙魚子シリーズ」(諸星大二郎)が好きなら、きっと夢中になるはず。
「天水」の方が遥かに濃いけど。
2003年8月4日(月)
「読んでから死ね―現代必読マンガ101−」中条省平(文芸春秋)購入
上記書籍を最寄の書店から取寄せて購入した。
(私はネット上の書店から購入しない主義である)
さて、内容であるが、現代マンガのスタンダードを列挙している訳ではない。
抜け落ちている作品が数多くある。
正確なタイトルは『90年代私の薦めるマンガ』と、すべきであろう。
ゆえに、真のスタンダードたりえていない。
しかし、結構よい作品を選んでいる。
バランス感覚がよい。
この手の書籍は、バランスが一番難しいのだ。
『マンガ好き』な奴は、どうしてもマニアックに偏りがちである。
また、一般のアンケートで選出するとレベルが低くなってしまう。
(むずかし〜のだ!)
しかし、この選者はその『偏り』が少なく、幅広く選んでいる。
男性にもかかわらず、少女漫画も的確に選出し、評論も的を射ている。
優れたマンガ評論家・呉智英さんでも『少女漫画』になると、筆がにぶるか、避けている。
大塚英志さん、橋本治さんあたりになると、少しマニアックすぎる。(おもしろいけど)
夏目房之介さんが一番、一般ファンに近い感覚だけど、あまり私の趣味と合わない。
そんな訳で、中条省平さんは(割と)私の感覚に近いので、オススメ。


2003年7月24日(木)晴れ
「800」川島誠(角川文庫)読了
これは、面白かった。予想以上。
800mの陸上競技にかける高校生の話。
がむしゃらでおおらかな中沢。
理性的で冷静な広瀬。
この2人が交互に『語る』形式となっている。
800mの競技と女性交友の2点から2人の成長と変化が描かれる。
特に広瀬の変化が面白い。
また、800mのトレーニングの説明が(私には)興味深い。
『スポーツ青春小説』って、ありそうで、少ないように思える。
貴重かつ稀少な傑作である。
なお、文庫本解説は(なんと)江國香織さんである。
うれしい、おまけである。

2003年7月20日(日)晴れ時々曇り
「ターミネーター3」上映中
「T3」を観に行ってきた。
ド迫力である。
しょっぱなのカーチェイスのシーンから、もう目が離せない。
この手のSFアクション映画は、自宅のTV画面では迫力がでない。
映画館のスクリーンとPAシステムが不可欠。
今回は女ターミネーターが登場。
サラ・コナーは登場しない。
前回「T2」の精神科医が登場するのは観客サービスか?
「ベストキッド」「スーパーマン」の時も感じたが、女性版がでると最終段階、って気がするが、
このシリーズに限っては、まだまだ続きそう。
今回の特徴は前作「T2」のシーンをふまえたうえで、確信をもって笑いをとっている点。
例えば、未来から裸で登場するから、服を探すシーン。
ここがギャグになっている。シュワルツネッガーが(裸で)酒場に入ると、
看板がでている・・・・『(本日)レディスデイ』と、(う〜ん)私もおもわず笑ってしまった。
この後のサングラスをかけるシーンもギャグになっている。
(こういうのを本歌取りのパロディと言うのか?・・・パロディはすべて本歌取りか?・・・アハハ)
また、新たなキャラクターが登場。
(たぶん)今後の展開(次作)は×××と、なるに違いない。
映画を観ていない人の為に、伏字とさせて貰います。
とりあえず、オススメ。
観てソンはない。
DVDになる前に、スクリーンで観よう。

2003年7月11日(金曜)曇りのち雨
「テレプシコーラ」(4)山岸涼子(メディアファクトリー)発売。
9:30pmまで残業後、奥田英朗「東京物語」を探しに、本屋に立寄る。
見つからなかったが、かわりに「テレプシコーラ」(4)が発売されているのを発見!
さっそく購入。
高い質を保ったまま、物語はますます面白くなる。
さすが、である。

2003年7月11日(金曜)早朝、雷雨
「最悪」奥田英朗(講談社文庫)読了
10:30pm過ぎまで残業。
帰宅後、遅い晩飯を食べ、日課の斜め懸垂200回ほどこなし、風呂にはいり、酒を飲む。
後は寝るだけ、って感じ。
ベットで横になり、「ちょっと本でも読むか・・・」が、止まらなくなった!
面白すぎ!
ノンストップローラーコースター状態!
眠くなるどころではない!
キャラクター造りと言い、ストーリー展開と言い、うますぎ。
零細鉄工所社長・川谷、銀行員・みどり、プータローの和也。
何の共通点もない3人の人生が1点で交わった時、運命は急転し、
とんでもない方向に転がりだす。
先が見えない面白さ。
文字通り『最悪』にまっしぐら。
でも、後味は悪くない。
犯罪小説の名作まちがいなし。
先に読んだ「マドンナ」でもそうだけど、登場人物がキレる瞬間と、
そこにいたるプロセスの描き方が、異常にうまい。

2003年6月29日(日曜)晴れ
「ブルーもしくはブルー」山本文緒(角川文庫)読了
木曜日、残業を終えて帰宅。
遅い晩飯を摂りながら、何気なくテレビを見ていたら「ブルーもしくはブルー」を放映していた。
ドラマの出来はともかくとして、その設定に興味を感じた。
そこで、さっそく原作を購入して読んだ。
ヒロイン蒼子は29歳、結婚して6年たつ。
実は、蒼子は6年前現在の夫(広告代理店に勤務・スマートな男性)佐々木と結婚したが、
もう1人の恋人・板前をする実直な河見と結婚するか悩んだ過去がある。
たまたま旅行中、蒼子は自分そっくりの女性と出合う。
しかも、彼女はかつての恋人・河見と結婚している、と言うではないか。
今の生活に飽き飽きしていた蒼子は、生活を取り替えることを提案する。
歴史では、『もし・・・なら?』はタブーであるが、小説ではOKである。(面白ければ)
作品の中で、ドッペルゲンガーという術語が登場したりするが、
この手の話は昔ならSFのカテゴリーある。
今はフツーの小説に分類されるのか?
SFが浸透した証拠である(のか?)。
(ここから脱線)かつて、エイトマン(なつかし〜!)のシナリオをめぐって、
平井和正と豊田有恒がつかみ合い寸前のけんかになったとき、
テレビ局スタッフか誰かが、『サイボーグ』を『細胞具』と書いて大笑いになったという。
その当時と比べると隔絶の感がある。
「ブルーもしくはブルー」にも『ドッペルゲンガー』という術語が普通に登場するし、
世の中すすんできた(?)。
話を元に戻して、作品の感想を述べると、
『よかった・面白かった・読んで損はない』である。
後味も悪くないし。
(私は読んでいて、最悪の結末を予想したけど)
とりあえず良かった、と言うことでオススメ。
娯楽性が高い割に、内容も深い。(途中からどんどんシリアスになる)
自分自身に、(あらためて)向かい合う作品である。

2003年6月2日(月曜)
「マドンナ」奥田英朗(講談社)読了
奥田英朗の短編集である。
奥田英朗と言うと「最悪」が有名。
私も「最悪」から読み始めるつもりが書店に見つからず、こちらから読むことになった。
内容はサラリーマン小説である。
サラリーマン小説と言えば源氏鶏太を思い出すけど。(←かなり旧いぞ)
今はサラリーマン小説と言わないか?
オフィス小説と言うのか?
さて、内容であるが・・・面白かった。
かゆいところに手の届く小説である。
『会社という世間』がリアルに描かれる。
部下、上司、同僚、女子社員、家庭と会社、妻と子ども・・・よくある関係が再現される。
ありそうでない、なさそうである・・・といった新感覚オフィス小説。
うまい!ひじょうに達者な筆運びである。
次回は名作の噂高い「最悪」を読んでみたい。
2003年5月27日(火曜)
「つきのふね」森絵都(講談社)読了
初期の作品であるが、秀作である。
さくら―中学二年になったばかり。
「あたしはちゃんとした高校生になれるのかな」
「ちゃんとした大人になれるのかな」
「ちゃんと生きていけるのかな」
と、オビには宣伝のフレーズが入っている。
思った以上に面白かった。
『へび店長』がさくらに(かつて、さくらが万引きした)バレッタを差出すシーンには・・・、
(う〜ん)泣けた。
2003年5月17日(土曜)晴れ
「PAY DAY!!!」山田詠美(新潮社)読了
読みごたえのある内容である。
アメリカが舞台。
主人公は双子の兄・妹、ハーモニーとロビンである。
2人とも高校生。(山田詠美さんにしたらひさしぶりではないか?高校生を主人公にするのって)
両親が離婚した為2人はニューヨークとサウス・キャロライナに別れて暮らすようになる。
そこに9月11日のテロである。母親は行方不明。
・・・と言った設定で物語が進行する。
文章が濃い。さすがである。
最後の章のロビンの名セリフ(と思うが)。
「・・・でも、すべてを突き詰めて行くこともないんだなあって。
理解することと、すべてを知るってことは違うよね。私が見たり感じたりするものが、
目の前にいる人のすべて。私だけが持っている鏡に、その人が全部映ってる」
2003年4月20日(日)雨
「永遠の出口」森絵都(集英社)読了
おそらく今年度(2003年)のベストブックである。早くも決定!
とりよせていた段階から予感はあったものの、これほど面白いとは思わなかった。
森絵都さんの中でも最高傑作であろう。
「カラフル」「DIVE!!」より濃い。
40度以上のスピリッツクラスである。
この濃度の小説はひさしぶり。快感である。
第一章、第二章、第三章が小学校編。
第四章、第五章、第六章が中学編。
第七章、第八章、第九章が高校編。
この手の成長物語は大河小説になりがちだが1冊に収まっている。
だからこそ濃度が高い。くらくらする。
形式として、小学校4年生から高校卒業までの9年間のエピソードを連作長編の形で綴ってある。
人生案内小説でもあるし、(私のようなおっさんにとって)過去誘導小説(造語)でもある。
作者と私は(たぶん)10歳くらい離れているので、多少世代の違いは感じる。
高校時代など、私とまったく中身が違うし。
それにもかかわらず、共感を感じる。
主人公の紀子になりきって読んでしまった。(ちょとこわいか?)
私が森絵都作品で最初に読んだのは「リズム」である。
その時の印象は、(佐藤多佳子さんの「黄色い目の魚」あたりとくらべて)薄クチだし、
インパクトにもかけたので、しばらく離れてしまった。
今回「DIVE!!」を機に、戻ってきてよかった。
『1冊で判断してはいけない』と言う教訓である。
もう一度過去の作品群をあさってみよう。
*PS ところで、この作品のエピローグが面白い。先に読まないように。
最後に読んでこその面白さである。

2003年4月18日(金)
「阿修羅ガール」舞城王太郎(新潮社)読了
20年くらい前(だったと思うけど)、「桃尻娘」(橋本治)を初めて読んだのを、思い出した。
ジョシコーセー(女子高生)の普通の会話を文学にしてしまったのが画期的であった。
ところで、「阿修羅ガール」は結構評判だし、作者もファンが多い人気作家である。
しかし、残念ながら私の趣味ではなかった。
イマイチ、作者のノリについていけなかった。
私の頭が硬いせいかも?
2003年4月11日(金)
ついに本日このHPの訪問者数1,000人突破!
大変うれしい。
何度も訪問して頂いた方、初めての人にも感謝!
(たぶん、訪問者の内訳はほとんど知合いか、身内と思われますが・・・あるいは自分自身か?)
会ったら、声をかけてください。
2003年4月7日(月)
「ダンボールハウスガール」萱野葵(角川文庫)読了
一気に読んだ。けっこうおもしろかった。
泥棒に入られ200万を通帳ごと盗まれる。
仕事を辞めたばかりだというのに。
金ナシ、家ナシ、男ナシ。
と言うわけで、ダンボール・サバイバル生活が始る。
映画化もされたらしい。観てみたい。
2003年4月6日(日)晴れ
「ブレイブ・ストーリー」宮部みゆき(上・下)読了
けっこう時間がかかった。
宮部みゆきらしい読みやすい文章にもかかわらず。
どうしてだ?
さて、この作品は第一部と第二部に別れている。
第一部が現実世界の話で、
『どうして主人公が異世界に旅立つ必要に迫られたのか』の説明で導入部。
第二部が本編にあたり、主人公の異世界での冒険譚である。
本来のファンタジーなら導入部は退屈極まりないセクションである。
『早く本編が始らないかな』、と読み飛ばしたいくらいの部分である。
ところが、さすが宮部みゆきさんである。
導入部がいい。というか、現実世界の話のほうがやたら面白いのである。
(う〜ん、どういうことだ)
さて、この作品を分析するにあたってチェックポイントがある。
数年前の『中央公論』だったか『文芸春秋』だったかに、
宮部みゆきさんが『ファミコンに如何にはまったか』について書かれている。
特にRPGはマニアの域に達しておられるようだ。
ならば、『ブレイブ・ストーリー』をRPGのノリで描かれた可能性が高いわけだ、
と言うか読んでいて、そう感じてしまう。
ところが残念なことに、私はファミコンと相性が悪い。
いろいろ試したが、さっぱり面白くないのだ。
今回の作品「ブレイブ・ストーリー」に感情移入できない理由はこのせいか?
イマイチ入り込めない。いつもの宮部作品と比べて違和感を感じる。
(これは『ドリーム・バスター』でも感じたが、『RPG』では感じなかった)
さて結論であるが、「ブレイブ・ストーリー」は中学生・高校生或いはゲーム好きの大人なら、
夢中になるに違いない、と思う。
『いままでの宮部作品の中で最高!』、と言うのでは?
2003年3月15日
「DIVE!!」森絵都(2)(3)(4)読了。
今週は、忙しかった。毎日4時間残業。
帰宅して、読書体勢に入るのが11:00pm過ぎ。
もう、寝不足である。
しかし、面白かった!
久々のドキドキ作品である。
『スポーツもの』も久しぶり。
というか滅多に、このジャンルは読まない。
森絵都さんとスポ根との組合せが珍しい。
2003年3月9日(日曜)
「DIVE!!」森絵都(2)(3)(4)を梅田の大手書店で購入。
「つきのふね」も。
「ブレイブ・ストーリー」(宮部みゆき)も、とうとう発売された。
即購入。
しばらく、忙しい毎日がつづきそう。
2003年3月8日(土曜)
予約していたDVDが発売された。
「ダーティ・ダンシング」である。
青春映画の傑作である(と思う)。
80年代に、映画館で見て以来何度も見直した。
今回やっとDVDで発売された。(感激)
また、同時に予約していた「フレンズ」(7thシーズン後半3枚)も購入
観ていて声を上げて笑える作品は少ない。
「フレンズ」は、その数少ない作品の1つである。
7thシーズンでは、ゲストにウィノナ・ライダーやキャスリン・ターナーが出演。
ウィノナ・ライダーはジェニファー・アニストンの『元友人で、レズビアン』の役。
ところで、ウィノナ・ライダー、ってもともと金髪なの、知ってた?
親からもらった金髪を、無理やり黒髪に染めている。日本人と逆。
(黒髪ショートの方が知的でインパクトがあるけど、金髪だとヘーボン)
一方、キャスリン・ターナーは『チャンドラー』の元父親役(!)で、
現在はゲイになって『女性』という設定。
キャスリン・ターナーは昔、劇場で「ロマンシングストーン」を観たときの残像が脳裏にある。
変われば変わるものである。
(「シリアル・ママ」あたりから変わったのか?)
「ロマンシングストーン」の可憐な印象が・・・。
噂では、8thか9thシーズンにはブラット・ピットが出演するという。
(レギュラーのジェニファー・アニストンは奥さんだから)
そんなわけで、本編以外でも楽しめる。
2003年3月2日(日曜)
DIVE!!(1)を読んだ
これほど面白いとは思わなかった。
森絵都の最高傑作では?
(4)まで出版されているが、毎日残業のため購入する暇が無い。
日曜日まで、続編はお預けか?
休日が待ち遠しい。
*ところで、兄弟で一人の女性を好きになるパターンが描かれるが、
参考図書として、旧くは「エデンの東」、新しいところでは「冬のディーン夏のナタリー」、
マンガでは『カリフォルニア物語」がある。
2003年3月1日
NHK『しゃべり場』に、高村薫さんがでるので、(普段は見てないが)見た。
(高村薫さんは若い人の発言に興味があるようで、ずっとこの番組を見ているらしい)
テーマは「社会人と仕事」
大人になるとは?・・・(うーん)重い。
作家だからもっと破天荒な発言が出るかと思ったが、まっとうである。
常識どおり。すこしがっかりだが最後のほうで、
「世の中のニーズに応えているようでは、売れない」
・・・これ、けっこう実感こもってた。
2003年2月28日(金曜)
「あんまりな」(中野翠)を読んだ。
説明困難ではあるが、中野翠さんの作品を(4〜5年)敬遠していた。
『東京中心が鼻につく』って言うか・・・。
でも、今回久しぶりに読んでみると、やはり面白い。
世の中に対するバランス感覚と自分自身へのバランスが絶妙。
本の紹介や、映画の紹介もツボを押さえている。
眞紀子批判も一貫してるし。
カンの良さは天下一品(少し褒めすぎ?)。
文章に誠意が感じられるのが好感が持てる。
やはり、人柄でしょう。
(だから、米原万里も好き)
2003年2月8日(土曜)曇のち雨
フレンズ(7thシーズン前半3枚)DVD購入
(後半は来月発売予定)
やはり面白い。笑ってしまう。
作り方がうまい。
脚本がこなれている。
★梅田に出たので、本屋にも立ち寄る。
以下購入。
「フリークライミング」(山と渓谷社)木村伸介・理恵編
「海外トレッキングベスト50コース」(山と渓谷社)
「DIVE!!」森絵都
「あんまりな」中野翠
「ボーダーライン」真保裕一

2003年2月1日(土曜)晴れ時々曇
「屋根のあるアパート」阿川佐和子(講談社)
オビのうたい文句は『ちょっぴりほろ苦いラブコメディ』とある。
最後まで一息に読めたので、そう悪くない出来である。
5点満点で3.7くらい(半端だ)。
主人公をはじめ、登場人物にイマイチ魅力がないせいか?
ストーリーにヒネリがないせいか?
あまり本を読みこんでいない、OL・大学生の何人かは、
「すっごく面白いじゃん!」と言うかもしれない。
少女マンガを読み込んでいる女性にはもの足らないだろう。
最近はマンガの方が進化しているから。
(すべてではないけど)
2003年1月29日(水曜)
話題のミステリー「半落ち」横山秀夫(講談社)を読了。
やはりおもしろかった。
「このミス」「文春ミステリーベスト10」の両方で1位になるだけはある。
人物の描きかたがうまい。深みもある。
人物背景と、その人間関係が丹念に描かれる。
組織の内情をよく調べている。
エンディングで泣いたと言う話をよく聞くが、私はさほどではなかった。
どうしてだろうか?
2003年1月26日(日曜)
ビデオ「ハイヒール・エンジェル」「恋する遺伝子」「スパイダーマン」を観た。
「ハイヒールエンジェル」はオススメ。おもしろかった。
「恋する遺伝子」の演出はなかなかヨイ。でもこのエンディングは納得できない。
今時、少女マンガでもこのハッピーエンドは陳腐すぎて、使用しないでしょう。
「スパイダーマン」良くも悪しくも『ハリウッド』だ。
多忙な人は、無理して観る必要はない。

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